ある孤島の白浜でひとりの老人を見掛けた。彼は一心に木片を小刀で削っていた。死を、刻んでいるんです尋ねた私にそう答えた―誰のものか―何のためかそれならば、お持ちの品より良く切れるナイフを差し上げましょうかと私が言うと彼は、要らないと目を伏せた。何故かという問いに一言私がそう思ったからとそっけなく呟いた。しかし、気が付くと声の主は少年で先の老体は何処にも無かった。―それが孤島の性格だった
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