何もない所に咲いた花は
何もないまま枯れていくのか
それなら　いっそ僕が摘み取り
人混み踏まれる都会へ植えよう

雨のない所に咲いた花は
色のないまま枯れていくのか
それなら　いっそ僕の涙で
薄いブルーに染めてあげよう

どうしようもない　どうしようもないけど
どうしようもないほど　どうにかしたい
結果　それが不幸だとしても

愛のない所に生まれた君は
愛されないまま死んでいくのか
それなら　いっそ僕が
それなら　いっそ僕が
全ての悲しみ背負って死のう

早朝　自転車　二人乗り
春先の風は　まだ冷たいけれど
背中だけは温かい
心に伝わる　君のぬくもり

早起きの君が　僕を起こして
「海へ行こう」だなんて　突然に
だけど　僕は嬉しかったよ
きしむ自転車も　二人だけのラブソング

明け方の猫を　じっと見つめる君に
見とれる僕を　じっと睨む明け方の猫
そんな三角関係　あってもいいじゃない

オレンジ色を　二人眺めて
「眠いね」なんて　君が笑って
僕がなんて言おうか　考えてたら
明け方の猫が　遠くで鳴いた

サルは歩いた
ずっと歩くとイヌに会った
「いただきまーす」
なかなかの味だった
焼いたほうがよかったかも

サルは歩いた
ずっと歩くと少年に会った
「お前なんか食うかよ」
サルは少年を突き落とした

正義も悪も関係ない
そもそも　そんなこと知りもしない
天使でも悪魔でも　どちらでもない
ただのサル　可もなく不可もない

サルは歩いた
ずっと歩くと神に会った
「……」
今までの自分を見せられて
サルは思った
「オレってカメラ写り　わるっ！」

スタートから僕は出遅れた
靴ひも結ばず走り出したあいつは
もう　ずっと向こうの背中
自分のペースでいけばいいさと
靴ひも強く結んでみても
やっぱり気になる　景色がチラつく

いくつもの背中に追いついて
いくつもの背中に追い抜かれ
顔を合わせることもなく
言葉を交わすこともない

走ることを止めれば未来はない
他人のペースなど　どうだっていい
誰もが　そう教えられてきた
息切れ寸前の頭に思想などなく
走る理由も見出せない
振り返ることすら怖くてできない

さまざまな勝ち負けが存在し
さまざまな感情が混在する
心かよわすこともなく
ゴールなき道　独り走る

いつかの背中が座り込んでる
こんがらがった靴ひもに
自由を奪われ　もがいてる
走ることに疲れた僕は
何も言わずに立ち止まり
固いひも靴脱いでみせた

馴れ合いなんかは好きじゃない
並んで走る気も　さらさらない
だけど　裸足になった僕とあいつは
やっと　人生レースの面白さを実感していた

お金がいっぱい落ちている道と
雑草がいっぱい生えている道と
どちらを歩くかと言われれば
やっぱり　お金の道……
自分にとって得な道を選ぶだろう
でも　誰かが雑草の道で
損得勘定関係なく
雑草を抜いているのなら
僕は……
拾ったお金で
小さなスコップを
ふたつほど買おうと思う

勉強のできる奴は言う
「人生は大学で決まる」
運動のできる奴は言う
「人生は身体能力で決まる」
ルックスのいい奴は言う
「人生は顔で決まる」
才能のある奴は言う
「人生は発想力で決まる」
なんにもない俺は言う
「これだから争い事が絶えないんだ」