詩人:重夏 | [投票][編集] |
薄い蒼の闇に咲く淡く白い月
小さく輝きを放つ星の欠片たち
光が闇に消えゆく様を
闇が光に溶けゆく様を
初めて眼にした その春夜
春風が優しく君を撫ぜ
柔らかな色を放ちながら
君は降る
ひと時の切なさが私を包み込み
酔い痴れた 美しきその姿に
酔い痴れた 息を呑み 君の最期に
ギシリと軋むベンチに腰を掛け
見つめた先に浮かび上がるは
霞がかった桜色 つまりは君のこと
”私をわすれないで・・・”と
聞こえた気がした
いや あの時 確かに受け取ったよ
君の声
触れ合う空気が
ひどく甘く薫っていた
ある春の夜の情景
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失うことの怖さを
知らずにいたのは
失うことの痛みも
知らずにいたのは
まだ大切なモノに
出会ってはいなかったから
つまり君に
巡り合ったことで
知ってしまったんだよ
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そっと
背中を
押してくれる
人がいるから
しゃがみ込むことなく
たどたどしい
足取りながらも
時に躓いたり
なんてしながらも
歩いてゆけるのでしょう
歩いていられるのでしょうね
きっと
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想いが溢れて
貴方に降ればよいのですが
雨のように この想い
貴方に降り注げばよいのですが
貴方は きっと
いいえ 絶対に
傘を差してしまうでしょう?
そして傘を隔て
私の想いは また
貴方から
遠ざかって行ってしまうのですね
遠く 遠く
貴方の衣服に触れることもなく
貴方の吐息に触れることもなく
ただただ傘を伝う
雨の雫のように
流れてゆくのでしょう きっと
流されてゆくのでしょう また
何処までも
どこまでも・・・
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何も見えないから
走り続けられたんだ
目印もなければ
辿り着く場所さえもわからない
だから我武者羅に
走り続けられたんだ
ゴールが見えてしまえば
足は勝手に速度を緩めてしまう
思い返せば
いつだってそうだった
だから
何も見えないほうがいい
ゴールは見えないほうが
きっといい
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幾重にも
重ねてゆく色彩
やがて出来上がる
最初で最後の一枚の絵には
優しさが
浮かび上がるのか
それとも哀しさが
滲み出るのか
温かな色彩が
映えるのか
または蒼の冷たさを
纏い漂わせるのか
私はこの手で
どんな絵を
描き上げるのだろうか