詩人:緋子 | [投票][編集] |
何をされようと、裏切られようと、
これっぽっちも痛くはない
どんな終末も、すりぬけていく。
好きじゃない。
ただそれだけに行き着いて、
ただそれだけに終わる
ありふれた言葉に、
ありふれた答えを返すだけ。
好きなんじゃなくて、
嫌われたくないだけ。
私の恋愛。
音のない、意味のない、
乾いた心臓を長い髪で覆い隠し
恥じらいに見えたなら笑顔で釘を打っておくよ
中身なんてないのに
跳び跳ねて、はにかんでみても
心は波打たない
その正体に気づくのは、いつも終わってから。
私は君という他人じゃなくなった他人に
どうせなら嫌わないでほしかっただけ
好きの本質も知らないで、貪ったつもりになろうとしてただけ
真面目に真正面に向き合うことができる愛を知りたかったけれど
掴むことができた時点できっとそれはニセモノなの。
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音のない日々に、かっこをつけて
てきとうに選んだ色づかいで、
むちゃくちゃに飾り付けるけど
やっぱり、
私の中に残るのは、ただの虚しさと
汚したてのひら。
きみの目、耳、心。
欲しいものはいっぱいある。
欲しい言葉は、数えきれないくらいたくさん。
だけどその前に、
私がここにいること、
こんなにも届かない。伝わらないの。
毒を盛ろうか?
花を飾ろうか?
何色に染めれば、きみ好みの味になるのだろう
ただ、こっちを見てほしくて、
重ねるほどに遠ざかるのは。
私の土台がこんなにも空虚な嘘で膨れ上がっているから。
飛んでいるような気分は、
いつか破裂してしまわないかという不安で浮きっぱなしの足元。
それを私の夢だと唄えるうちは、
どうしても後戻りなどできなくさせる
一瞬の喜びを、
終わりなど恐れずにずっと感じていたいの
ふうせんのように膨らます、
私の愛言葉。
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面倒だからといって
心を開くのを諦めても
ゴロゴロと音を立てる雲のように
胃の中で怒りは渦巻き続けながら
雷の落とし場所を求めているよ。
口から、目から、胸から、腕から
ふとした瞬間漏れてあふれる
黒い煙のそれ。
立ち込める暗雲を、必死で押し留めようとするけれど
指先からするすると流れてしまう
隠せない
隠すのは面倒
だけどもう、私
そこにしか
自分をうまく表せないよ。
真っ赤な隙間風を通して
色んなものを詰め込んだこの脂ぎった喉の奥を、
さらっと一掃できたらな。
きっとはっとするようにして
私は目を覚ます
大人がそれをゆるさない
自分と言う未完成の大人が
私と言う未熟な子供を
黙って歩けばいいの と
すべてを制止する眼つきで威圧してる
乾いた日常に
からからの、胸の奥
涙が満ちるよりも先に
真っ赤に切り落として堕ちてしまおう
予感はさらりと煙になり、静かに消えていく
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なにもかも吸収してくれる枕が欲しかった。
怒りのパンチ、
抑えきれない叫び声、
わけもわからず流れてくる涙、
ひとりの夜の震える身体。
なにもかも吸収してくれる枕が欲しかったのかもしれない。
鏡のように向き合えばすぐそこにあって、
ビニール袋のようにぱっと開く利便性があって、
ぬいぐるみのようにぎゅうぎゅうに抱きしめても壊れる心配はなくて、
ラインなんかよりも簡単に意思疎通できて既読無視の既の字も存在の余地もない位確実にわたしと縛り付けられるもの。
私は無機質で無感情な枕を愛してる。