詩人:里雨夜 | [投票][編集] |
少し冷えた風が運んでくる
この甘い花の香りを
君は憶えていてくれるだろうか
秋の訪れを告げる
この甘い花の香りを
君は忘れてしまうだろうか
でも大丈夫
これから幾度も花は香り
これから幾度も秋は訪れるのだから
少しずつ憶えていこう
小さな手で触れた世界の片鱗に
確かな思い出を刻んでいけるように
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子供の頃のイメージは
人生の曲がり角
母と見ていたドラマの影響だと思う
実際に到達してみたけど
まだまだ曲がり角は先に思える
人生100年の現代
今の60代は若いように
私達も若いということだろうか
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同居家族が多くて仲良くさせてもらっているのは
恵まれていること
だけど
言えない本音は多くて
最近は
胸で喉元で抑えられていた言葉を
うまく飲み込めない
大変だけどかわいい子供たち
愛しいのは本当 でも 苛立つのも本当
大人に振り回されている子供たちは
癇癪を起こしても
笑顔で抱きついてきてくれる
自分は正しいのだろうか
子供たちは幸せなのだろうか
渦巻く疑問に答えが出るのは数十年後
凄惨なニュース
こんなかわいいのにと嘆く義母の横で
母親の気持ちに共感してしまう自分が恐ろしい
テレビ画面に写る容疑者は数年後の自分?
後悔や苛立ち
恐怖や虚無感
退いては寄せる波を大きく感じるのは
きっと五月病か梅雨のせい
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オギャーと生まれてくれた君
頑張ったね
お兄ちゃんに合わせて
なかなかゆったりしてあげられなかったけど
問題なく生まれてきてくれた
コロナ渦で
入院中はママしかいないけど
パパもじいじもばあばも
きっとお兄ちゃんも
会えるのを楽しみに待ってるよ
幸せになるために
一緒に大きくなろうね
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30を超えた今でも父の怒鳴り声が恐い
自分以外に向けられたものだとしても恐い
だから
いやいや期真っ只中の息子にヒヤヒヤする
私が間違いを隠しがちなのは
怒られたくないという恐怖からだと思う
息子や娘には私みたいにはなってほしくない
そう思っても
私も完璧ではないし人間だから
いら立ってしまうことも舌打ちしてしまうこともある
セメントが固まってしまえば穴は塞がらない
固まりきる前に少しは修復できるだろうか
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3月に入るといつも心細くなる
雪解け
田畑の土の臭い
日射しは暖かいのに
追い越していく風は身に凍みる
さよならと初めましての狭間の季節
青春時代(かこ)に馳せているのか
復職(みらい)を思っているのか
自分でも定かではない
子供(げんじつ)を抱き寄せても
なんだか不安で足が地につかない
腹を括るしかない
新しい季節はすぐそこだ
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誰よりも大きく生まれた君は
とってものんびり屋さんで
誰よりもお腹の中にいたね
初めての経験もいっぱいした
元気いっぱい泣いて
元気いっぱいミルク飲んで
愛しい気持ちをいっぱいありがとう
幸せいっぱい
一緒に大きくなろうね
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ようやく一息つく
爆速でハイハイの音がする
眼鏡を取ろうと体を伸ばす
あごに頭が触れる
駆け寄る足音がきこえる
背を向けて座り体を預けてくる
あごに頭が当たる
腰を伸ばし立ち上がる
おずおず上目遣いで近づいてくる
抱き上げるとおでことおでこがこんにちは