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高級スプーンあと何年の部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] 心身遺失
詩人:高級スプーンあと何年 [投票][編集]

心を失えば死にたくなるし
体を失えば生きたくなる
心身ともに健康でありたいと願っても
叶えたいのなら行動しないとね
それが出来たなら
何も失わずに済んだのに
それが出来たとしても
失わずにいたとは言い切れないだろ

誰か拾ってくれていないか
どこを探しても見つからず
年数だけを重ねていく
ああ また春が来た
ああ また年を越すのか
繰り返し繰り返し
後戻り出来ないとわかっていても
中々前に進めない
何をしているんだか
心身ともに健康でさえあれば
もっと先へと進めたのかなあ

紆余曲折
立ち止まった数だけ折れ曲がる
決して綺麗とはいえない道を歩んできた
最短でも全うでもないが
それでもこの軌跡だけは失われずに
振り返れば ただそこに在る

たとえ心が見つからなくても
たとえ体が壊れてしまっても
消せない轍
生きてきた証だけはいつまでも
そこに在る 誰にでも在る
失われずに他には何も遺さなくとも





2016/12/09 (Fri)

[2] 後日談
詩人:高級スプーンあと何年 [投票][編集]

娘に殺されて死ぬのが
私の最期だなんて
バッドエンド過ぎるでしょ

自ら嵌めた枷に縛られて
まるで温暖化
狭まった行動範囲の中で
自由に生きた代償が
我を忘れたあなたと
人に借りた金の後始末
それから
死んだあとのこと

助け合い
救い合い
足元をすくわれ
救われない
誰も助けに来ない
じわじわと絞まる首
迫る足音
やがて耳元まで辿り着き
息も出来ない
人生の総決算に
集まる人はごくわずか

まあどうせ
人も神も信じてなかったですから
何にも見えないし
別にいいんですけどねwww

気がかりなのは
あの子のその後
私を刺し殺したあと
ちゃんと元気に出所して
明るいところで
暮らせているのかしら
だなんて
死人の口が裂けたって
言えやしない
知りはしない

蒔かれた種が芽吹いたの
いつかは
誰でも死ぬけれど
わたしが居なければ
あの子が生まれてくることもなかった

ひとの気持ちも知らないで
勝手に産んで
育ててしまってごめんなさい

さようなら
さようなら
さようなら
さようなら
バイバイ
もう会えないことだけが
あの子の救いになりますように

2016/12/20 (Tue)

[3] 注ぎ愚痴
詩人:高級スプーンあと何年 [投票][編集]

冷たい紅茶が好きだ
特にアイスレモンティーが好きだ
アーモンドチョコレートが好きだ
一粒食べると止まらなくなって
一箱全部食べてしまう
ケーキは別腹と言うけれど
炭水化物を摂れるだけ摂ったあと
レモンティーでチョコレートを流し込むこと
はち切れんばかりのお腹
いや
本当に張り裂けてくれたら
ふりだしに戻って
好きなものを好きなだけ食べられるのに
でも
好きでこんなことをやっているわけじゃない
という
認めたくない心からの承認欲求だ

今日で終わりにするんじゃない
今日から始めるんだ
それが出来ていたら
とっくに始めていただろうに
また今日が終わる
明日から始めようって
口だけの
今日が始まればまた明日
永遠に辿り着かないし
そもそも
永遠には生きられないし
明日が来る前に死ぬ
始まらなくても終わりは来るんだ
それならもういいじゃないか
別に悩まなくったって

冷たい紅茶が好きだ
特にアイスレモンティーが好きだ
アーモンドチョコレートが好きだ
一粒食べると止まらなくなって
一箱全部食べてしまう
ケーキは別腹と言うけれど
炭水化物を摂れるだけ摂ったあと
レモンティーでチョコレートを流し込むこと
そうして今日が終わる
けれど
横になっても吐きそうで
眠れなくなって
いつまでも
変わらない今日が終わらない



2017/01/17 (Tue)

[4] 致しかたない死
詩人:高級スプーンあと何年 [投票][編集]

人を不幸にしてまで
欲しがったもの
手に入れると
見向きもしなくなる
それは致し方ないことなの?

先は短い
先端から先は無い
そこから先から
飛び降りたなら
致し方ない死が待っている

あなたが望んで
手に入れたんだもの
仕方なく手放した生と引き換えに
死んだあなたには見向きもしないわ
誰も
あなたのことなんて
それは致し方ないことなのでしょう?

どれだけ悔いたって
どれだけ欲しがったって
一度手放したら
二度とは手に入らない人の生
誰かのせいにはしたくはないけれど
あなたのせいで不幸になった
わたしの生だけは
お生憎様
手渡せないわ

2017/02/03 (Fri)

[5] 軸椎の嘘
詩人:高級スプーンあと何年 [投票][編集]

ものはものでも
他人のものなら
可哀相とも思わないのに

無機物ですら愛おしい
愛するものが
失われる瞬間を
看取ったなら
こらえきれずに嗚咽するはず

どんなものでも悲しいと
もの思いに沈めるあなただった
ただひとつのものを除いて

たったひとつを追い求め
何度もリセマラするように
執拗に愛を選んでは
一方的に別れを告げる
身勝手に捨てられて
それでも思い煩ってしまうのは
わたしの勝手でしょ

つべこべ言わなくなった
こうべは小さな壺の中
田舎に墓があると聞いた
参列すらしなかったので
事情はよく知らないけれど
一粒も涙は出なかった

「見て下さい
 まるで
 合掌しているみたいでしょう?」

きっとそれは後付けで
見ようによっては
そう見えるだけで
真実では無いんだろうけど
そうなんだろうけれど
それでも尊いと感じるのは
大切なものだから

かろうじて生きている
振り払えずにここにいる
それでいい
それでもいい
誰のものでも
誰のものでなくても
わたしはわたしなんだもの

続きはないけど
続いていくんだ
いつか終わりが来るまでは
たとえあなたと訣別しても


2017/02/08 (Wed)

[6] ブレードウォーカー
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もしかしたら
ぼく以外
全員ロボットなんじゃないかって
そんなこと言ったら
きみだけがロボットかもしれないし
きみもぼくも含めて
全員ロボットなんじゃないかって
それくらい考えてもキリがない位
不毛な進化の過程
後ろから来たのは
猿だったけれど
前を歩くのは人なのか
それとも
別の生きものか
考えたって仕方がないけれど
恋や愛を経て
それでも
ぼくの隣を歩くきみへの
この想いは何だろう
あと百年も生きられはしないのに
この気持ちも不毛だろうか

あんなに目新しかったもの
世間に注目され
誰もが使っていたものも
サービスが終了し
誰もが使わなくなり
新しく新しいものが出て
忘れ去られてゆくような
原始時代
江戸時代と変わらず
今の時代も今は昔に
わたしもきみも新しくはなれない
いつかは過去の産物に
それでも
何気ない日々の何気ない笑顔が
不毛だなんてそんなこと

それは違うと
真っ向から否定は出来ないが
けれど
それでも
理由はつけずに笑い合いたい
これからも
何の意味もなく
何ひとつ得られることのない未知を
きみと一緒に歩いていきたい

誰がロボットで
誰がロボットじゃないとか
っていうか
全員人間でしょう
そうでしょうねえとか
不毛な談笑を延々
あと数十年くらいはね


2017/02/15 (Wed)

[7] サブマリン逃法
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また明日また明日
また明日また明日また明日
また明日また明日
また明日
明日も明日も明日も
明日も明日も明日も
明日も明後日も明々後日も
明日もまた
また明日で締めくくる今日
いかがお過ごしですか?
お元気ですか?
私は元気です
嘘です
元気じゃないです
なんて
嘘です
健康そのものです
ご心配なく
私には明日がある
私には
明日が必ずやって来る
元気だからこそ
今日できることを
今日はやらないで
また明日
すべてを投げる
アンダースローで

2017/02/23 (Thu)

[8] 幸せになりたい
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柔軟剤の臭いがキツ過ぎて
脱ぎ捨てたくなったアウター
好きな漫画家の新連載が
思ったとおりに鬱屈していて
余計に死ぬのが怖くなった

昼過ぎに
行きつけの美容室で
髪を短く切ってもらったと言う彼女
真夜中
笑顔で僕に飛びついてきたから
すべてがどうでもよくなった

それでも
若さは失われるし
フローラルな香りはそのままに
完結するまで作者は生きていたい筈だ
読者だってそう
とは限らないが
それはまた別の話
期待できない結末を迎えても
彼女の笑顔だけは絶やさないで

幸せになりたい

2017/03/12 (Sun)

[9] 雨宿り
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通り雨のように
目の奥を過ぎ去って
脳裏から消えた言葉
追いかけても
もう思い出せない
それなら、と
気持ちを切り替えて
次の言葉が降ってくるのを
待つしかないのか

もう少しだけ
考えさせてほしい


はじまりの日が雨だったのか
それすらも曖昧だ
快晴だった気もするし
どしゃ降りだった気もする
覚えていないけれど
まるで
おわりの日でもやって来たかのような
曇った顔をしていたんだろう

今にも降り出しそうな空
大粒小粒
ひとつひとつの雨粒が
地面に落ちた数だけ
人の命が消えていくとしたら?
雨に打たれ
流れた血に濡れて
冷えきってしまった地面のように
寒いのは心か

次の日
雨は止み
雲間から光が見えて
希望か何かの
虹が掛かっても
命を失った人々の目には映らない
なんて妄想か

本当に降ったのかどうかも
定かでない雨は
とっくに止んでいる
あさっての方向には
光が射していて
希望の虹が出ているんだ
その一歩を踏み出すには
もってこいの今日
お前は何を考えているんだよ

横殴りの言葉は
誰かの心を深く傷つけたのか
篠突く言葉は
誰かの心に鋭く刺さったのか
攻撃的で
ひどい言葉だ
下手糞で
ひどい言葉だ
箸にも棒にも掛からない
おまけに
傘も持たないで
飛び出していった彼らの
雨曝しの彼らの背を見て
何もすることが出来ず
ただ指を咥えて
来るはずのない明日を待って
雨宿りを続けている

もう少しだけ
もう少しだけ

「もう少しだけ」は
一生しか続かないのに
雨に打たれる前に命を落とすのか
ひどい話だ

元々
何処にも救いはないけれど
何処にも逃げ場はないけれど
躊躇いながら
書き殴る言葉
着地点はなくとも
ゴールはすぐ其処で
来るはずのない明日もまた
同じように
待ち続けているのだとしたら

そんな都合良くは



また降り出した雨
振り出しに戻るように
思い出して
続きを書き出した
それは
とてもじゃないが
人には言えない
ひどいものだった










2017/03/27 (Mon)

[10] 
詩人:高級スプーンあと何年 [投票][編集]

あと使っていない言葉は
どれかなあ
まだ残っているのかな
ありがちに折れる心の象
何もない寂しい風景をあらわす
いい感じの喩えとか

天才じゃなかったから
早逝もしなかった
くだらない表現しかできない
ゲロ吐き野郎こそ
さっさと死ねばいいのに

残り物をかき集めて
誰に食べさせるつもりだったんだ
やめて正解
それ以外は不正解なら
白紙に勝る秀作なし

喉まで出かかっている言葉
今すぐ飲み込め
もしくは
つかえて息が出来なくなって
死ねよもう

夢の中でも
ナニモノかに襲われて
必死になって逃げ回る
無様なままで生き延びて
起き抜けに嘔吐
だなんて
ああ もう





2017/03/30 (Thu)
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