詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
一度嫌われたら
二度と好かれない人になりたい
ひとことごと全部炎上し
家ごと丸ごと燃やされたいし
あなたは他人事
じっくりことこと
地獄の釜で茹でられたい
もう悩まない考えない
頭の中までスキンヘッド
だって
世の中馬鹿ばっかで
バッカみたい
ハッカ嫌いの私にも
馬鹿になる薬をくれよ
後先も関係も気にせずブチ切れて
言いたいことをぶち撒けてプチ炎上
ぷちぷち絞って
ブチブチさせるくらい
ぶっちぎりの爽快感
味わってすっきりしたい
それから
地獄の業火で焼かれたい
踊る阿呆に見る阿呆
あれこれ考え
アホになれないこのアホに
アホになる薬をくれよ
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その男が
知らない子どもを捕まえて
何をするか知りたいか?
想像を絶する斜め上の展開で
裏切られたり
別に比喩じゃなく
そのままの意味で捕えられても
特に構わなかったりする
ややこしいね
守る術も持たずに外を歩くのは
他の人と同じ道を歩き
他の人と同じ電車に乗るため
他の人と同じ地下鉄で迷う
それが偶然
事件に繋がっただけで
他の人と違う末路を辿った
それなら
何の生首ならよかった?
許されないことだけが生きがいで
悪趣味だけがマイフェイバリット
卍卍屈折歪曲至極残虐凶悪事件卍卍
唯一無二の信仰心を踏み絵して
砕け散ったあとの残りカスを
啜って生きる姿
週刊誌か動画で流そうか?
だったらしねばいいのに
疑問符ばかりが増えていく
あなたと同じように笑えない
吉祥のシルシに
本気も何も無いだろう
良きも悪きも抜きにして
世間にわかりみある
ヤバみしかない犯行声明文を投函
夕方のニュースで報じてもらおうか
一躍わたしは時の人
一転下落し過去の人
表舞台から消え
歴史には残らない
忘却の遙か彼方へ
丸みを帯びた愚者になろう
全然格好良くないね
ううん
知りたくないよ
そんなこと
って
翌朝
人目を気にしながらゴミを漁る姿を
カラスや猫が目撃したって話
まだ誰も呟いてない?
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トイレは我慢できるのに
小説の続きは
どうしたって書けない
更新停止の少年は
最新ページで
踊り狂ったまま
立ち止まっていた
あるがままはワガママか
現実では使えない
日曜六時半の方式とは
似て非なる
今日一日
花を摘もうと考えただけで終える
それから
決まって眠れずに
後悔しては体勢を変え
怖くなってスマホを弄る
停滞中の少年と同じ様相で
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エールを注がれ
花が咲く
華やかなあの夢を見て
いつか実を結ぶこと
信じて念じて種を植えたんだ
坊主頭が掻き鳴らす
絶望よ、さよならだとか
長髪を振り乱して歌う
四畳半のダイヤモンドだとか
応援歌が何より好きだった
満天の星とインターチェンジ
高速を疾駆する光も
嘘みたいに真っ直ぐな友情も
どれもこれもが心に響き
脳天直下
停止しかけた己を揺り動かす
あなたがブルーハーツを好きだったように
わたしもナイフを持って立っていたかった
暗い帰り道
顔の見えないヘッドフォンの少女が
金属バットをフルスイング
流線型の後頭部を直撃
もう少し早く死んでいれば人気も出たかなあ
特に名前を知りたくもない雑草だって
アスファルトの抜け目から
花を咲かせているっていうのに
どうして芽吹きもしないんだ
笑顔を知ってるダンデライオン
紅茶に入れるシロップはふたつ
何度でも立ち上がるヒーローは
どこにでもいる失敗作だったのに!
同じじゃないのか
何が違うんだ
努力の数が違うんだ
夢破れても
張り裂けない胸
心臓破りの坂を見上げるだけで
明日
また明日と先延ばし
間延びした願望充たすため
あくびした
眠りに就いた
いつしか夢は悪化して
見るたびうなされるように
あんなに嬉しかったエールも
今では残響
銀河の終着駅まで乗り過ごしたぼくよりも遠く
とても遠くに来てしまったし
遠く
とても遠くに行ってしまった
並み居る強豪相手にひとり立ち向かう
戦士のような応援歌だったなら
ここから逆転
満塁ホームランは打てなくとも
金属バットもヘッドフォンも失ったとしても
身一つ
不細工に格好良く戦うんだろう
硝煙 葛藤 血飛沫舞って
最期の一滴まで抗うんだろう
こっちが応援したくなるくらい
だけど
現実は
雨に濡れれば風邪をひく
大切な人が死ねば悲しい
夢破れれば立ち尽くす
そんなにうまくいかないや
どうしよう
どうすればいいんだろう
これから先
聴く耳すら持たなければ
それでも
胎動するものは?
「ほら、また蹴ったよ」
この左胸を衝き動かすのはナニモノなんだ!?
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画面の向こう側で
大勢の人が笑っている
隣できみは泣いている
夜空に青空
とっても綺麗
眺めているだけで心まで
あーあ
だったらどれだけ楽だろう
偉人の辞世の句を諳んじて
気を紛らわせる
明日を考えずに生きていく今日
だからいつ死んでも構わない
とは言えないから死ぬね
ぬねぬねぬね
ぬとねと似てる
めっ
そう母に怒られても
あなたは泣いているだけで
反省の色は空の彼方
そう言えば
きみは空によく似てる
晴れたり曇ったり
「月が綺麗ですね」なんて
リバイバルされた言葉を
口にしたくなる
一緒に泣いたり
途方に暮れたり
離れた場所でひとりで泣いたり
画面の向こう側の誰かにさあ
思いの丈を綴ってみたり
この時間が無駄なんだ
春が来て
雪が溶ければ
足跡も消え
それくらい無駄なんだ
それくらい当たり前のことなんだ
いつしか誰もが去っていく
去りゆく人を覚えていた人たちさえも
当たり前のことばっか言うな少し黙れ
少し
あと少し
もう少し練ってみよう
辞世の句を詠むのは
もう少しあとにしよう
もう少し生きていよう
きみが本当に空になるまでは
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しにたいと
おもいつづけて
とつぜんし
スタミナが少しでも残っていたら
なんだか損した気分になる
全消化してから眠ろうか
あと一回が終わり
ランクアップでスタミナ全快
眠気マックスでもう限界なのに
今日も今日とて不眠症
自分の体力はいつ回復させるの?
命を削り
全身全霊注ぐのは
てのひらの仮想世界に住む
もうひとりの自分のステータス向上
それでいいのかと虚しくなって
虚ろなままで朝を迎える
寝癖爆発
目の下の隈はより深まり
イヤフォンから流れる応援歌
「がんばれファイト!」で
どうにか元気を出しても
結局
前に一歩が踏み出せなくて
頼るのは
翼をくれる怪物ドリンク
無理矢理エナジー満タンにして
現実世界に住む俺は
無駄だと思うだけの今日を休まず生きて
どこに行きたいの?
せめて
こっちでもログインボーナス下さいよ
全快したって無限じゃないぞ
そろそろ
幕引きしないのか
アンインストールさせて
終わりにするのはどっちの自分か
死ぬのはお前か
ドッペルゲンガーか
損しているのは誰の人生か
よく考えろ
いきたいと
おもいなおして
とつぜんし
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君がもし扇風機だったなら
壊れても買い換えないでいる
君がもし紙パックのカフェオレなら
いつまでも飲まずにいる
君がもし人間だったなら
壊れても
腐っても
キスもせずにそばにいる
そんなはずないよね
そんなはずないのにね
どうしてか
笑ってしまうのは
私が北極星だから?
あなたがコンパスだから?
君を見つけるために生まれ
見つけやすい位置に君がいた
そんなはずないよね
そんなはずないのにね
どうしてか
笑ってしまうのは
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そこまでいいひとがいないって
わかってる
さっきまでわらっていたのに
またいかりがこみあげてくる
なにをしんじて
だまされたようなきもちになるのか
じぶんでもわからない
じぶんすらわからないのに
どうして
またしんじてしまうんだ
あなたもわたしも
わらってはうらぎられては
くるしんでいる
そこまでいいひとがいないせかい
それまでなのに
それからも
いまもまた
どこかでだれかをしんじては
いきをしている
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空気を読んで
存在を空気に
それでも人は殺せるわけで
むしゃくしゃした気持ち
この鬱憤をどしゃ降らせれば
空は晴れるけど
あなたは死ぬ
顔も心も曇ったまま
警察は今も110番なのか
掛けながら考える
繋がる前に消す
たとえば
それは〇〇のよう、だとか
まるで〇〇みたい、だとか
何に喩えようが
お前は「何か」にはなれなくて
心がざわつく
熱に浮かされる
心が躍る
心に響く
心を動かす「何か」を探して
それだけに一日を費やす
背中に翼は生えやしないし
ましてや
背中に亀裂が入り
成長した自分が現れたりはしないのに
何にもなれない私は
折り返し掛かってくる電話に
蚤の心臓をばくばくびくつかせている
もちろん
空気にもなれない私は
あなたの背中に手を当てて
体温を感じ
ひとり安心している
全部妄想だ
半分フィクションだ
本当は全部、
この言葉も空気のように
流れて消えて
何もなかったかのようになれ
今更
不慣れにもなれないで
何が空気だバカ
超がつくほど私は私
こればっかりは決めかねる
終わりをどうするか
いい喩えも思い付かなくて
たとえば
何もなかったかのように
あなたの時間を奪うだけ奪って終わる
タイトルだけは決まってる
「超私」
終わってる
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いちにのさんで
飛び出した一歩は
しゅっと射精する速度で
放たれた北のミサイルのように危うい
着地点が薄氷だったらどうするの
そんなことお構いなしに
全身全霊前進する君が
イケメンマッチョなAV男優よりも
格好良く見える
真似した咆哮が喘ぎ声にしか聞こえない
こんな僕でも
そんな横顔
凛々しい一歩を踏み出せるかな
未だ震える両足を
武者震いだと言い聞かせ
賢者タイムのあとも興奮冷めやらぬ
夜通しヤッて夜が明け
腹上死したおじいちゃんみたいに
コンピューターおばあちゃんでも
解けない問題にも立ち向かいたいよ
これ以上のおしゃべりや前戯は不必要
いざ一歩前へ