詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
一回売れて
解散して
再結成したい
高架下
河川敷で喧嘩して
親友になったアイツと
授業中
机の上に突っ伏して
寝たふりを続けるアイツと
それから
あと誰だ
あー
アイツと
アイツらと
なんだか熱い
ロックなバンドを組んでさー?
一回売れるまでに
全二巻くらいでまとまる
葛藤や騒動があって
カレー大好き
ドラマーのアイツの胸ぐらを掴んで
だったらもうやめちまえよって
熱い熱いドラマがあって
真夏にフェスは外せない
一回売れて
解散して
再結成したい
次の日には噂になっていた
クラスで一番かわいい
あの娘とアイツが
フェスをきっかけに
付き合ったって話
嗚呼
神さま
時間をあの日に戻して
ぼくにも告白する勇気をください
くずかごに捨てられない思いを
唄にできたのは
後ろから
肩に手を回して茶化してくる
アイツらのおかげ
だったら精一杯叫んでやる
糞でも
草でも
汗水涙垂れ流し
大声でクソッタレの唄を歌う
いつか再結成するような
熱いバンド仲間ーーアイツらとの青春
本当にあったなら
再結成できなくてもいいや
糖質が足りない
甘いものと妄想の区別がつかない
別腹にアイツらがいるっていうの?
それなら切り裂いて
臓物ぶちまけて
見せてよ中身を
あーあ あーあー
一回売れて
解散して
再結成したい
理由はない
理由はある
理由はないない
異常はない
お前とお前と私とお前と俺とお前とお前とお前と
お前で再結成
しようぜ
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透明人間のカメラが
俺を追っている
心臓みたく休みなく
カメラを回し続けている
つまらないだろ
もう飽きただろ
惰性でやっているのか
心はあるのか
疑問は尽きないが
そんなお前を撮影したい
観測できないダークマター
恥の多い生涯を送ってきた馬の骨
骨だけになるまでカメラを向けるのか
そんなお前を
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ヒカリヨリハヤク
ヒカリヨリハヤク
隅っこまで
追い詰められているのに
世界の端には届かない
筆跡を真似て
足跡をなぞるだけでは
追いつけないの
達した境地
同じ場所に立ってみたところで
あなたにも誰にもなれやしない
ヒカリヨリハヤク
ヒカリヨリハヤク
何を言っているんだ
誰と戦っているんだ
別に言いたいことなんてなかった
だから
何もしないで過ぎていく今日にすら
置いて行かれ
立ち尽くす
ふて寝する
その分
距離は離れて
みだりに耽る思いだけが先走る
ヒカリヨリハヤク
ヒカリヨリハヤク
世界の端には届かない
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終わりが視えてきた
選択肢を間違えて
どう転んでも
打ち所が悪い終わり際
キワキワきわぎわまで
頑張る気力はもう無いが
余力だけで
どうにか凌いでいる日々
新作が出て
気になる続き
来週まで生きようか
事故ったり
誰かに刺されて死なない限りは
アハハハハ八八ノヽノヽノヽノ\/\
言葉とばかり戯れる人ね
焦らされる身にもなってよと貴女は微笑う
目以外
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自殺は
スマホを力一杯
投げたくなる衝動に似ている
大事なもののはずなのに
片手で扱って
画面バキバキでも気にしない
繋がり全部消したいなあって
深く考えるのが嫌になって
飛び込んだ
あくまで前向きに
生きてりゃ
後ろばかり気にしてるんだ
誰も見ていないよ
死体になるまで
ぱしゃぱしゃぱしゃり
被写体にもなれない
バカなことをした人が
SNSに投下され
拡散していく様を
ひび割れた画面越しに見る
スマホもこの身も今は無事
ただ
一つ前に見た記事が
ろくに思い出せないくらい
何にも興味が持てないんじゃ
長くは持たないよな
人生を精一杯生きたくなる衝動に
喩えられるものにすら
出会えていませんが
三番線
今日も来るのを待っている
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料理を作っている間
食べる人のことなんか
気にしなかった
それがいけなかった
別に僕が食べなくても
他に食べる人はいくらでもいる
それもいけない
たったひとり評価しなくても
星の数は変わらないし
評価を気にしなくても
味は変わらない
それの何がいけないっていう
どちらかが欠けていても
満たされない
だったら
料理を通して
対話をすれば
お腹も心も満たされるのか
それは
お世辞にも綺麗とは言えないが
一点の曇りもない欲だ
才能がなくても
健康を蝕んでも
テーブルを挟んで語ろうか
互いのそれを満たすために
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真っ白な部屋で真っ黒になる
眠れない
会社に行きたくない
何もしたくない
でも自分で自分を殺すのは
少し怖いから
誰か代わりに殺してほしい
生きることに意味がないと
諦めていても未だ苦しい
あなたがいなくなっても
電車が少し遅延するだけ
その日のうちに再開し
何事もなかったように動き出す世界と
社会
誰がいなくなっても
歯車を取り替えるだけだから
何事もなかったみたいに元どおり
別にいなくてもいい存在
古い映画で学んだはずなのに
あなたのようにうまくいかない
寝不足のまま会社に行って
来月生きるためのお金を稼ぐ
守るものも趣味もないよ
来月も同じ気持ちで
銀行に振り込まれたお金で暮らす
それだけの人生
あなたがいなくて
とてもさみしい
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一生笑われる夢を見た
干からびた頬を伝う涙
現実はもっと酷いと笑った
嫌な奴を映した鏡のように同調し
わたしはわたしを指差し見下し
他人事みたく口角を上げる
とても見ていられない
わたしがわたしだったら
乖離するのは
回避するため
Nobody
わたしがわたしじゃないために
怒らなかった
起こらなかった奇跡
少なくとも
誰かは救われなかったみたい
横になるのはわたし
じゃあ
明日起き上がるのは?
一生笑われる夢を見た
悪夢じゃないから涙が出るよ
笑えるね
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別に起きなくたってねえ
いいんだよ
って
陽が見えないのを良いことに
午前6時過ぎ囁く声
しなければいけないと
追い詰められているけど
後ろを見てごらん
崖っぷち
飛び降りたっていいんだよ
耳元で感じる
息遣いのぬくもり
心地良いな
やめろよもう
幸せが必然じゃないんだと
諦めてしまった
ラストに向かう道程が
この先も辛く苦しいものだって
感動も救いも待ってないんでしょう?
最後の最期まで生きるための望み
とっくの昔に捨ててしまったし
努力と違って失敗は
努力せずとも積み重なる
部屋の隅
いつの間にか
溜まっているほこりのように
掃除する気力も理由も無いもんで
そのまま放置していたら
病気になったよ
別に起きなくたってねえ
それでも必死で
必ず死ぬのに身体を起こして
這ってでも前に進もうとする
すげえよなあ
楽じゃないさ
楽しくすらないさ
仕事も趣味も恋人も家族も
信じるものもすがるものも無い
これ以上生きる意味も
でも
それでも
全うするために生きて何が悪い
もうわかんねえよ
目が覚めたら起き上がる
そんな当たり前のことが出来なくて
すげえなって思ううちは
眠れなくても
起き上がれなくても
前を向くしか
ねえんだよ
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やらないだけ
やるだけ
やらないだけ
やるだけ
繰り返し
やるだけ
やらないだけ
やるだけ
やらないだけ
やるだけ
繰り返し
繰り返し
やるだけ
やらないだけ
やるだけ
やらないだけ
やるだけ
ただ
わたしには
できないだけ