詩人:無人 | [投票][編集] |
滴跳ねた帰り道
誰かの足音
垂れ下がる空
鳥が一羽逃げた
雑居ビルにいるヘビ
雨だよって笑った
帽子は濡らすなよって
ヘビは笑った
胸が苦しいよ
窓の外は雨
鉛色を含んだ雨
傘じゃ防げない罪
呟くサヨウナラ
誰かへのさようなら
遠い目をしたヘビは
少し悲しい顔して
どこかへ去った
窓の外は雨
誰かに降る雨
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白い夜
青い闇
永遠に続く砂丘
永遠の静けさ
旅人が一人
青白い月は言う
どこへ行くの?
もう旅はやめようよ・・
旅人は無口のまま
青白い月は言う
砂の城はすぐに壊れてしまう・・
どこまでも続く砂丘
動くは旅人一人
旅人は言った
涙で砂の城を固めれば良い・・
そうだね
そうだね
青白い月は泣いた
涙は出ない
愚かな人間を笑っているのかもしれない
青白い月はそれきり
無口に
旅人は何処までも砂丘を
優しい風が
足跡をかき消した
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砕け散った彦星のカケラを拾い集める織り姫の涙は流星
万感の思い
涙は流星
願いを食べる天の川にいる鮫の瞳は銀河
一寸法師が天の川を下っていく
散りばめられた光り
砕け散った想い
流れる願い
どこまでも夜色の空に
広がって消えた
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僕はどこまでも墜ちていくだろう
闇の中をどこまでも
墜ちていく闇の隙間に見える
あの日が最後になった
泣き疲れた君の顔
僕が受けた傷よりも
君が受けた傷の方が何倍もある
あれから一年が流れた
僕はどこまでも墜ちていくだろう
暗闇を睨みながら
幸せな歌は心の汚泥を掻き混ぜてしまう
もう元には戻せない
山に囲まれた小さな街で君は生きてる
新しい生活
新しい恋
幸せに過ごして欲しい
僕ものうのうと生きてる
耳を塞ぎたくなる日が増えていくよ
幸せな笑顔を見ると
暗闇が全身から吹き出そうになるよ
たまに自分がどこに行くのかわからなくなるよ
僕はどこまでも墜ちていくだろう
闇の中は過去が渦巻いて頭が痛くなる
過去が浮上し目の前に現れると
何も手につかなくなる
頭を振っても傷をつけても中々消えないんだ
君は少しでも元気に生活できていますか
僕を思い出す時はありますか?
僕は時々貴女を思い出して胸が軋みます
ごめんなさい
ごめんなさい
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親指の恋人は?
世界は回った回った
何も考えずに生きる事に
意味は無いって
みんな言うだろ?
世界は回る
犯罪を犯しても回る
加速していく
時間も大切な人に気づけない弱い心も
加速していけ
大嫌いな自分の時間も弱い弱い弱すぎる心も
世界は回る回って
やがて僕達もわからなくなる程に世界は回って
笑い泣きの僕と
夏の夜と
弱すぎる心と
砕けそうな心と
叫びたい心と
またくる明日と
死んでゆく今日と
加速していく世界と
幸せはなんだろ
僕には見えないまま
世界は加速して回ればいい
僕にはわからないまま
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祭囃子が聴こえ
夏の夜は朧げに浮かび上がる
提灯が幻を映し
ざわめきは闇に絡む
獲物を探す獅子は舞い
知らん顔の宮司
乱れる提灯の明かり
捕まれた手
振り返る瞬間
見えた過去
誰より大切な人
笑った顔に重なった獅子の舞い
それは夏の幻
二度と見ることのない幻
気がづけば都会の中
立ち尽くす夏夜
私の代わりに
蝉が泣いてくれた
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白熊の涙を見た鉄塔にいる悪魔
人間を憎んだらしい
天使は哀れに思い
悲しみの記憶をオーロラに変えた
オーロラのカーテンは
やがて夜空を彩った
夜明けの空
天使は呟いた
いつだって悲しみは生まれるから いつか涙を光に変えなさい
いつだって悲しみは心を満たすから 今は悲しみに沈んで いつかまた・・
鉄塔の悪魔はいない
もういないんだ
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夕餉の匂い
悲哀色の記憶
夕暮れの公園
またねの約束
カラスは俯き
犬は頭を垂れた
ガラス玉
割れてしまう玉
気持ちと一緒
いつか割れてしまう
格差という鎖を
引きちぎり
彼女の街まで
走って行こうか
きっと彼女はもう
そこにいないけど
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モノクロームの森
黒髪の少女
不吉なモニュメントになる赤い月
黒髭の山羊は笑う
墓場にある割れた時計
ようこそ終焉へと書かれてる
風見鶏は黒く塗られ
ニヤリと笑った
マスクの男
煉瓦に寄り掛かり
赤い月を睨む
今日が約束の日さ
赤茶猫は囁き
不吉な景色を振り返った