詩人:シンラ | [投票][編集] |
胸をつきあげるような
孤独
わたしの世界が
暗闇につつまれる
せめて泣き崩れてみたい
耐えるしかない哀しみ
ふいに
四月の木蓮が
心の空でゆれる
どこで見るより
うつくしい
故郷の木蓮だ
こんなにも苦しい世界に
こんなにも
いとおしいものがある
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新しい国へ
わたしは行こう
虹色の花がひらくとき
きのうの苦しみも
報われますように
冷たい風のなか
わたしは行こう
流れる涙の温もりに
くやしい傷跡も
癒されますように
やがてやがて
辿り着く
やすらぎの地で
風のように
うたを歌う
空のように
羽を広げる
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空の深さを吸い込んでみる
雲は甘くてかろやかな味
無限に広がっているような
けれどもどこかに果てがあるような
まぶたを閉じて
ふと開けたとき
瞳は空で
いっぱいになる
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雨上がりの午後
あまりにクリアな風景は
この地に朝を
告げるようだった
五月は颯爽と
駆け抜けていったんだ
新緑の道を車で走った
マーガレットが咲いていた
鳥たちの鳴き声を聴いて
アカシアの香りをかいだ
いとおしく
懐かしい
緑の季節よ
君とまた
巡り合うとき
ほほえんでいられますように
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オリーブグリーンの毛布にくるまり
明日の話をふたりでしようよ
ロイヤルブルーの地球儀にきらり
星々の歌を散りばめて
オフホワイトの羊が二匹
草原の上を歩いてる
グレイのきのうは
暖炉の薪に
蜂蜜
トースト
クリームシチュー
夢の香りは
カモミール
パウダースノーの時間にふわり
明日の話をふたりでしようよ
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かじかんだ指
キラキラ瞬くアスファルト
こぼれる白い息
群青の空とグレイの雲
羽ばたく鳥の影
つよく輝く一番星
おいてけぼりのマフラー
薬指が破れた手袋
雪の匂いが染みたニット
オレンジに滲む昨日
いつかの夜のホットココア
息を切らして走る道路
彼方に佇む街の灯り
ふと仰げば一番星
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愛を知りたくて
愛を探したくて
ここまできたよ。
生きてきたよ。
君の手が
震えていること
気づかぬフリを
してたんだ
愛が不安で
愛が怖くて
逃げ続けたよ
自分を守った
心の壁を
くだいてみたとき
何か生まれた
苦しみと共に
愛を持ちたくて
人を愛したくて
いまここにいるよ。
生きてるんだよ。