詩人:村和緒 | [投票][得票][編集] |
人魚姫」/厨房へ入ろうとしたら狭い通路で全裸の人魚が廃液を捨てようとして居た/私は私1人分なら通れると思って通ったので有るが何時もの癖で中途半端にしか着て居なかったエプロンを前でヒラヒラさせて居たのでそれが全裸の人魚の臀部に触れて仕舞った/全裸の人魚は少し怪訝そうな顔をしたが何事も無かったかの様に廃液を捨て続けて居た/*****/それから何事も無かったかのように月日は過ぎたので有るが/或る日クレーマー担当の部長から苦情を言いに来た専業主婦が野菜にゴリラがびっしり付いて居ると怒鳴り込んで来たがどうしたものかと相談を持ちかけられた/そんな馬鹿なと思って見に行くとなんとミニゴリラがびっしり本当に野菜に付いて居るでは無いか/小さいんだけど全然とれなくて/なるほどこんな小さいのに実に精巧に出来て居る/それどころかおもちゃでは無くて本物のゴリラでこんな小さいのが居るとは/赤ん坊でもこんな小さくは無いぞ/しかも卵を産んでどんどん増えている/ゴリラもミニだと卵を産んで増えるのか/私は気持ち悪くなり片っ端から卵を潰し始めると/止めて下さいとその主婦から制止された/どうしてです際限も無く増殖しますよ/言っては見たが私には彼女の気持ちが分かる様な気がした/彼女はそれを王様ゲームで手に入れて居た/すなわち野球券で10人抜きを達成して男を全て脱がして仕舞ったのだ/その証として王様ゲームの王様の地位を与えられ/ミニゴリラ付きの野菜を手に入れたのだ/彼女の希望は極上の野菜だったがそれが偶々あのような物を掴まされクレームしてきただけなのだ/ふと見ると今まで彼女の激昂の為さして気にも留めなかった彼女の顔が何日か前の全裸の人魚にそっくりなのに気付いてはっとした