詩人:タキシード詩者 | [投票][編集] |
変わらないでいて、と言われたので、
無邪気さと誠実さで答えてみれば、
ズルさや嘘も必要だよと諭され、
自分勝手な人は嫌いと愚痴る君の、
顔色や仕草を伺いながら優しくすると、
時には我を忘れて欲しい、と甘えられて、
私、嘘はつかないけど、我慢もしないからね、
って言うくせに、人一倍、良識人で気遣い屋の
溜まりに溜まったわだかまりがその涙でしょう。
納得いかないことは全否定するのに、
何したい、って聞いてみれば、
自分で考えてよ、ってお説教されて、
こっちが悩んでいるうちに、
もう次の目的地を目指してる。
隣に居たい時には、どこか行っちゃって、
眠いのにくっついてくる。
放っておけないのに、守らせてもくれない君が、
そばにいるうちは気が気じゃありません。
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言いたいこととか
言えないこととか
言いたくないこととか
言いたいのに言えないこととか
とても言いづらい、言うべきこととか
言ってしまった、こととか
言えなかった、こととか
そんな話題で持ちきりの
頭の中はとてもおしゃべりです
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他人に認められなきゃ
良いものじゃないの?
あなたが考えて、
創りあげて、
これで良い、って、
完成したんでしょ?
あなたが認めた作品でしょう。
認めてくれる人が
自分だって充分じゃない。
未熟さとか、違和感とか、
抜きにして、今は忘れて、
ね、呟いてごらん。
自分は好き、だって。
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支えてあげる
なんてね
身分不相応なセリフでした。
よろけてしまったとき
立ち止まってしまったとき
手をさしのべられる、
そんな距離にいてあげるつもりでした。
もう無理です。
鼓動の聞こえる距離感で
体温を分け合うほどの圧力で
寄り添いたい。
あなたがいないなら、
立ち上がる気にもならない。
この腕の中にずっと、
居てください。
転ぶ時はご一緒します。
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好みがはっきりしない、と
きみは愚痴をこぼすけれど、
嫌いじゃない。
僕がそう言うようになったのは
きみのせいなんだよ。
青が好きと答えれば
きみの持ち物は空色になるし、
鶏肉が好きと伝えてから、
食卓には一週間鶏肉料理が並んだ。
柴犬が好きだったのは、
本当に僕だったのかなぁ。
きみが僕を知ろうと頑張るほどに
僕ははぐらかすのが得意になるんだ。
きみが唇を尖らすたびに、
僕はホッとしているんだ。
僕の好みなんて聞かなくて良いよ。
あのヘンテコな緑のキャラクターを、
可愛いと言っているきみでいいんだよ。
好き は
いいね に変わり、
気がつけば、
嫌いじゃないよ って。
それなのに
きみの事は、
・・さ、
不思議と変わらないね。
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何でも消せる
消しゴムがあるとすれば
私は何を消すでしょうか?
失敗
恥ずかしい記憶
悔しい思い出
嫌いなモノ
憎い人
色々悩むけれど
私は
一番楽しかった思い出を消したい
初めて行った海
初めて乗ったジェットコースター
初めて入れたシュート
初めてもらった一等賞
同じ場所には行けるけど
同じ場所にもう僕はいない
生きることは
楽しいことの消化作業
そんなセリフ
悲しいこととはわかっていても
過去を越えるのはとても難しい
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たとえば氷が溶ける瞬間
たとえば洗濯物が乾く瞬間
たとえば手を切った瞬間
たとえば蟻を踏みつけた瞬間
たとえば君を想う瞬間
たとえば日没の瞬間
たとえば星の瞬き
たとえられない瞬間
君を見つけた瞬間