詩人:猫の影 | [投票][編集] |
手に余る女だった
天を仰いだもんだった
こうやって歳ってとるもんなのか
あおった酒は胃を焼いた
願うことはいつも手じゃ余る
分かり合えないことも まぁある
そんなもんなのか
と呟いてみた
身に余る女だった
判を押したようだったんだ
そうやって腰ってふるもんなのか
落とした涙が肌を焼いた
想うことはいつも身に余る
届かないことも、まぁある
こんなもんなのか
と呟いてみた
幸福は身に余る
不幸なことも、まぁある
手に余るほど
願うことはいつも手じゃ余る
分かり合えないことも まぁある
そんなもんなのか
と呟いてみた
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光が遠くに
ピストルは手元
上がる口角を
見つめていた
裂いた
チーズは熱を帯びている
欠いた
causeが見当たらない
ご名答
明日が抵当
あなたが近くに
ピストンは狂う
下がるやにを
吊るし上げた
咲いた
ローズは雫に濡れている
飽いた
ポーズは見当違い
ご名答
価値はその程度
光が遠くに
ピストルは手元
上がる口角を
見つめていた
光は遠くに
ピストルは手元だ
下がる銃口に
恵みの雨を
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空を目指した
届かないことなんてわかっていた
空を掴んだ
何もないことも知っていた
目を閉じてしまえ
それでいいのに
なぜ僕らは見ようと
見ようとする
ノートルダムのあの男は
いつまでも鐘を打った
何か届くように
何か届けるように
耳を塞いでしまえ
それでいいのに
なぜ僕らは聴こうと
聴こうとする
アルンハイムのあの男は
一心不乱に土を掘った
何か見えるように
何か見せるように
空を目指した
届かないことなんてわかっていた
空を掴んだ
何もないことも知っていた
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輪郭が崩壊していく
何がみえていたのだろう
輪郭が溶解していく
何が入っていたのだろう
闇の中へ意識が飲み込まれていく
どうせなら焼き尽くされたい
闇の中へ組織が組み込まれていく
どうせなら食い尽くされたい
望みは叶う
というアイロニー
その隘路には
なにも見つけられやしなかった
なにも手には入りはしなかった
手からこぼれ落ちた吐瀉物
なんの役にも立たないのだ
ジョークでもなんでもない
ラインが曖昧なのだ
そうなのだ
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ちぎれた卵、そうエッグ
踏みつけられて、可哀想ね
刳れた傷口に塗りつけたのは
効き目のない言葉
スライスした優しさを
小出しにする技術といえば
よく出る涙だ
のど渇きそうだ
まるで目立ちたがり屋だ
笑いは堪えきった
契ったお話、ああストーリィ
焼き捨てられて、可哀想ね
廃れた噂を掘り起こすな
気のきかない言葉
スライスした思い出は
生ゴミにしてしまえば
よく出る涙だ
溜めた膿だそうだ
まるでカリカチュアだ
口角を押し殺す
泣き止めば良い
もう誰もみてやしないぞ
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遠く、遠くへ
去るだろう
届かない、彼岸へ
ちぎれそうなほど
無垢で
押し潰されそうな
残虐性
波が全てを飲み込む
その感覚だ
目をつぶってしまっても
変えられはしない
敵いはしない
速く、速くに
去るだろう
性もない、彼岸に
コトキレかねぬ程の
狂気
蝕まれそうな
その知性
微細な粉末に支配される
その感覚だ
目をつぶったところで
抗えはしない
適いはしない
一条の光が
焼き尽くすだろう
一条の光が
全てを
岩塊の衝突する
あの感覚なのだ
五感を閉ざしたところで
そう、叶いはしない
叶いはしないのに
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深い深い森だった
どこかで何かが
流れていた
青い静寂が垂れ込めた
黒い風が頬を撫でた
彼は言った
あなたはあなたのものではない
美しい少年だった
長い長い時間だった
どこかで誰かが
泣いていた
群青の偽善を浄化した
聡い眉が疑義を呈した
彼は言った
あなたには死すら許されない
儚げな微笑みだった
日の光がたちこめて
粒子にまで昇華しそう
東にいたあの少年は
今はもうない
彼は言った
あなたはあなたのものでない
彼は言っただろう
あなたには死すら許されない
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境がほら
くるくると
入れ替わるのが
みえるだろう?
臨界が
溶け出して
溶け合っていくんだ
クリーミィで
冗談みたいなの
そんな視界なの
指先を
ミルクに浸して
口づけるような
そんな甘美な
曖昧な、憧憬
世界がそう
カラカラと
から回るのも
目に見えるようだ
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空、見上げた
澄んだ青が、目を刺した
君、との未来だ
撒いた種が、芽を出した
眼前の視界が、笑えないほどゆがんでいって そう
その馬鹿みたいな不条理劇も
その馬鹿みたいな悲しいことも
全部水に流しちゃってくれ
空、見上げた
汗ばんだ頬に、朱が差した
君、との未来を
描いたその絵に、朱を差した
瓦解する世界が、含めないほどふやけていって そう
その刹那のような幸福も
そのせつないような希望さえ
全て流れてしまえばいい
しまえばいい
しまえばいいのに……
君の名を呼んだ
声は青さにほだされたみたいだ
空、見上げた
澄んだ青が、目を刺した
君、との未来だ
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唐草模様の未来は
どうにも胸に悪いらしい
闇雲にひろがって
不安に空虚が満たされる
向こう側には何があるのか
そんな事を知りたいのか
馳せる思いはいつでもきっと
耽美に甘美に爆ぜてしまうから
つまらない思い出も
つまらない未来でも
それは途切れる事なく続いて行くはずだ
どのみち歩かなければならないんだろう
それでもいいと思う次第だ
唐草模様の窓ガラスが
どうにも目には落ち着かない
うろこ雲が朱に染まって
黄昏が黒に覆われる
向こう側には何があるのか
そんな事は知りたくもないのに
走る僕は今にもきっと
酸鼻な未来に捕まってしまうから
つまるところは昔でも
つまるところが明日でも
それが途切れる事なく続いて行くはずだ
どのみち歩かなければならないんだが
それは自分の脚次第なんだ
唐草模様の未来は
どうにも胸に悪いらしい
闇雲にひろがって
不安に空虚が満たされる
つまるところは昔でも
つまるところが明日でも
それが途切れる事なく続いて行くはずだ
どのみち歩かなければならないんだが
それは自分の脚次第なんだ