銀色のとても凛々しいその狼は差し伸べられる手すべてを食いちぎってきた。でもそれは彼が単に狂暴だからじゃない、その手に怯えてるわけでもない。彼は孤高なのだ。彼は気高い。薄汚い人間の手など寄り付けるようなことはありはしない。彼は孤独で、彼は美しい。彼は今日も薄汚れた世界を見下ろして、こういうだろう。「貴様らは間違ってる。」
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