詩人:丘 光平 | [投票][編集] |
空は見ている
深く、静かに揺れる海の呼吸を
ときおり
穏やかな水面に
暗い影が顕れてはまた
その不安な姿は波にまぎれてゆく
じっと
岩山は洗われ続け
風に磨かれたその胸の奥で
うつろに響く光の声
去ってゆく
白い帆の船が
手に導かれてゆくように、水底へと
そして空は思う
深く、静かに揺れる海の呼吸を
詩人:丘 光平 | [投票][編集] |
太陽は知らない
その残り火が
もうわずかだということを
すると
どこからともなく
冷静な闇が訪れ
その大きな手で包み込んでゆくのだ
高い建物も
また小さな屋根も
そして
街を隔てる川に立ち
じっと腕を伸ばしたままの橋
その橋の上で女が
しずかな瞳で
水の行方を追っている