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姫宮ららの部屋


[39] 劣等感
詩人:姫宮らら [投票][得票][編集]


僕が持っている綺麗なモノは

誰よりも小さくて

僕が持っている汚れたモノは

誰よりも大きい

そんなふうに見えた


道端で拾った綺麗なモノを

誰かに自慢したくて

見えるように持っていた

だけど

通り行く人々が持っていたモノは

僕のモノより遥かに輝いて見えた

だから

恥ずかしくなって

僕はポケットの奥にしまった

誰の目にも触れぬように

悔しくなって涙を流したけど

生まれるのは汚れたモノばかりだった

汚れたモノを他人に見せるのが嫌で

ポケットの奥の奥に隠してたけど

もう入りきらなくて

溢れてしまった


誰かがひとつ

僕の足元に散らばる汚れたモノを拾った

笑われるのかと思ったら

嬉しそうに持って行った

あぁ なんだ

僕が持っていたモノも

そんなに悪くなかったのかな

劣等感が少しだけ

和らいだ気がした


 

2011/03/30 (Wed)

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