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そほとの部屋


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詩人:そほと [投票][編集]

朝がいつも
真新しいシャツを着て
ボクを起こしに来る頃
母さんはいつでも
先に起きていて
不服そうに寝ぼけまなこを
開いたボクに
「おめざめね」
と言いながら
大きなアメ玉を
口の中に押し込む
ボクはキョトンとした顔
してみせたけど
本当は知っていたんだ
起きぬけの
全ての幼児がそうであるように
目覚めの瞬間
母さんの温もりを感じられない
不安
あてもなく訴えるためだけに
ぐずらぬように

早く目覚めすぎたお腹の虫を
仕度ができるまで
だまくらかそうとしていることを・・・・
それでも
その時は
確かに幸福だったんだ
確かに

そして

朝は
昨日と同じシャツを着て
昨日と同じ手口で
起こしに来る
僕は僕で
長い長い夜を
眠ったふりをしながら
手ぐすね引いて待っているんだ
ヤツのシャツが
日一日と汚れ
擦り切れてゆく淋しさを
だまくらかすための
大きなアメ玉
口の中へ押し込んでくれる
やさしい手の無い事を
知りながら



2009/01/28 (Wed)

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