ホーム > 詩人の部屋 > そほとの部屋 > 熱帯夜連続

そほとの部屋


[205] 熱帯夜連続
詩人:そほと [投票][編集]

熱帯夜の田圃はというと
月が映らないぐらい稲が伸び
カエルの喧騒は下火になり
さりとて虫のオーケストラはまだ準備中
滞った水は其処に棲むもの達には優しく
彼等の体液と老廃物と排泄物を腐敗させ発酵させ
涼を呼ぶために開け放った窓から私の鼻腔へと
臭気を運んでくる

熱帯夜の田圃というやつは
カエルの祭りの名残と
虫のオーケストラのリハーサルと
伸びた稲と
月も映らない暗い水面と
ごちゃまぜで秩序立った生活が営まれているに過ぎない

熱帯夜の私はというと
眉根をしかめながらの鼻呼吸で
どんな夢をみるやら
どうやら私
生活を嫌悪しているふしがある



2009/02/03 (Tue)

前頁] [そほとの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -