詩人:そほと | [投票][編集] |
熱帯夜の田圃はというと
月が映らないぐらい稲が伸び
カエルの喧騒は下火になり
さりとて虫のオーケストラはまだ準備中
滞った水は其処に棲むもの達には優しく
彼等の体液と老廃物と排泄物を腐敗させ発酵させ
涼を呼ぶために開け放った窓から私の鼻腔へと
臭気を運んでくる
熱帯夜の田圃というやつは
カエルの祭りの名残と
虫のオーケストラのリハーサルと
伸びた稲と
月も映らない暗い水面と
ごちゃまぜで秩序立った生活が営まれているに過ぎない
熱帯夜の私はというと
眉根をしかめながらの鼻呼吸で
どんな夢をみるやら
どうやら私
生活を嫌悪しているふしがある