詩人:そほと | [投票][編集] |
詩・曲 そほと
おいら
死んじゃうんだ
やっと生まれた
ばかりでさ
おいら
死んじゃうんだ
たった一度
抱かれたっきりでさ
あったかなおかあちゃんの
お腹の中から生まれて
冷たい四角い箱の中で
死んじゃうんだ
誰が悪いと言わないけれど
新聞紙やら
ビニールの風呂敷やらで
ぐるぐる巻きにされて
買い物袋に入れられて
汚いゴミでも捨てるように
おいら
死んじゃうんだ
やっと生まれた
ばかりでさ
おいら
死んじゃうんだ
たった一度
抱かれたっきりでさ
誰をうらんで
死ねば
いいのやら
おいら
死んじゃうんだ
名前も付けて
もらえずにさ
おいら
死んじゃうんだ
百円死刑場でさ
まだ手も開かぬうちに
まだ目も開かないうちに
お乳の味さえも 知らないままで
死んじゃうんだ
誰が悪いと言わないけれど
おへそが切れてしまえば
もう他人なんだね
いずれそのうちおいらが
新聞紙上をにぎわす時
おかあちゃん 泣いてくれるかな
おいら
死んじゃうんだ
名前も付けて
もらえずにさ
おいら
死んじゃうんだ
百円死刑場でさ