詩人:sophy | [投票][編集] |
揮発性の強い泪
ある種の循環のように
僕の両の目から湧き出ては染み込んで
軈て余った老廃物
誕生日の赤いパンプスを君は
記念日の刻印指輪を僕は
いつかまた二人
やり直せたときの為の遺言
虹が架かった空に雨を期待し
泣き出せば手が塞がってしまったと苛立つ
如何に過ごしても「矛盾」が僕の支え
僕は小指に繋がっていたのが頑丈な鎖だと思っていた
酸化して錆びることのない
ただ君を信じていた
東雲(しののめ)、焔色に染まる窓辺
新聞配達員の足音
重たい体から伸びた触角でアイ・シーンを捕まえた
くわえ煙草でさえもう
この部屋は君の匂い
幾度季節を束ねても、君がいた夏がほどけない
堅い、堅い珠結び
漆黒、一縷の光をも遮るカーテンに染み付いたチャンダン香にべない君の横顔に目立つ面皰(にきび)を撫でた
燐寸(マッチ)を擦るだけでもう
この部屋は君の匂い
詩人:sophy | [投票][編集] |
遠雷は鉛色の空を皹割って
其の音を轟かせる
赤だの青だの、ペンキを乱暴に振り撒いて
僕を奪っていった
瞬く間に消える其の芸術はまるで
此の世の終わりを垣間見せた
光のやうに訪れる君も
きっと其の一部なのだらう
君は僕を抜け殻にしていった