詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
井の中で出会った
王様ガエル
噂で聞くよりもずっと
偉そうな奴だった
けれども
自信を失くして
来た道を
戻り続けていた
僕よりも
下を向いて
歩いていたのに
井の中に落ちた
僕なんかよりもずっと
立派な奴だった
背中に乗れよと
空をにらむ
王様ガエルは
やっぱり
偉そうだったけど
海を知らずに
孤独を知った
王様ガエルは
僕なんかよりもずっと
ずっと立派な奴だった
けれども
空は飛べなくて
壁にぶつかって
二人とも傷だらけ
なぜだか僕は
笑った
アイツもなぜか
笑ってた
どれだけ
空を仰いでも
ここからじゃ
海は見えないけれど
振り返ると
大きな背中が
よく見えた
あの頃の思い出は
僕の左胸で
いまもピョンピョン
跳ねているから
まだやれる
もう少しいける
傷だらけになって
今日一日を乗りきって
帰り道を
偉そうに歩くんだ
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いや
ないことは
ないんだけど
なんちゅーか
まあ
ねえ?
わかるでしょ?
わからない?
あ
そう
わからないんなら
まあ
いっても
しかたがないかも
しれないけれど
でも
なんというか
その
あれだ
わかる?
え?
わかる?
わからないか
あ
そう
それなら
べつに
いいんだけど
いや
よくはないけど
なんつーか
ながれ?
ながれってあるでしょ?
え?
ない?
いやあるって!
え?
ない?
ない?
ないの?
あ
そう
そうきたか
そっちが
そうくるなら
こっちも
だまっちゃないよ
いや
まあ
だまるとか
だまらないとか
そういう
もんだいでも
ないんだけどね?
どちらかといえば
もんだいというより
こたえ?
そう
そうそうそう
え?
あ
ちょっとちがうな
おしいけど
ちょっと
え?
どこがちがうかって?
いや
どこがちがうかは
ちょっと
いえな
え?
なに?
ききたい?
ききたいの?
それならそうと
もっとはや
え?
ききたくない?
あ
そう
ふーん
そうくる?
そうくるとは
おもってなかったわ
いや
ほんとは
おもってたけど
あるいみ
いいいみで
うらぎられたというか
いや
ちがうって
そうじゃないって
わるくないって
だれもわるくないから
でしょ?
ちがう?
ちがうか
あ
そう
いや
だから
きずつけたくなかったから
さ?
うん
だれをって?
いや
あなたというより
わたしというか
わたしのなかの
あなたという
わたしにとっての
あなたというか
わたし?
うん
だから
え?
うん
うんうん
え?
ちょっと?
え?
はあ?
ちょっとなに?
え?
いや
それはちが
うこともないけど
うん
だから
なにが
いいたかったかっていうと
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大阪人にも
全然喋らん
ボケもせえへん奴も居る
いじる奴がいれば
いじられる奴もいて
それぞれに
ポジションがあって
人生を歩むうちに
わかってくる
自分の立ち位置
なんとなくやけどな
空気を読むのと
同じぐらい
自分のキャラを
わきまえない行動は
嫌われたり
引かれたりするもんで
運命というか
宿命というか
そんな
大層なもんちゃうけど
誰にどう見られるか
誰とどう接するか
考えないと
生きにくい世の中やから
関係ないって
突っぱねて
一匹狼になる
それは
空気に逆らって
息ができずに
苦しむような
自殺行為やけど
自分らしさが
あるんかも
周りの人から
言わせてみれば
アイツは
自己チューやとか
自分をわかってないとか
言われるかもしれん
けどな
空気に従って
生きてる俺なんかより
全然
でも
時には従うことだって
大切な気もするけど
なんかなあ
運命もホンマは
うっすら見えてるねん
オチがどうなるか
わかってたりするねん
けど
それを読まずに
逆らって生きるって
難しいと思うわ
ホンマに
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刀が壊れてしまった
鞘が壊れてしまった
持ち主が壊れてしまった
戻りたい場所はなく
行きたい場所もなく
状況に乗せられて
望みは流されて
新しく始めもしない
元に戻る
それこそが
ささやかな
ハッピーエンドだと
信じていたのに
そう信じることが
楽だったし
なんだか
ひと回りして
楽しめそうだったから
それなのに
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殴られ 蹴られ
犯される
バカにされ 罵倒され
殺される
その度
僕の目を見て嘲笑う人
その度
僕の目を見て微笑う人
涙に辛苦を浮かべ
顔を歪めて笑ってる
大切な人が
ひたすら責められる
という
地獄
それを見ているだけで
それ以上
何もできない
という
地獄
自分が責められる
どんな地獄より
苦しいですか?
嘘つき
この偽善者め
人より自分を
大切にしてきた癖に
自分以外の誰かが
どれだけ苦しんでいても
本当は何とも
思ってないんだろ?
だから
お前には何もしない
という
地獄
「私なら大丈夫だから」
もっと苦しめ
もっと味わえ
あなたの犯した罪は
それだけ重いんです
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自転車をひとり
残して
酔いが回った彼は
眠ることを
決意したのかなと
妄測
植え込みに
飲み込まれている
彼を見て
これが私の
アイデンティティ
なんて
思ってしまう彼女は
永遠の十四歳で
命や人生を
何かに
比喩ってしまうのさ
現実に相対すると
かなり弱い
部屋に
独りでいる時だけ
強がり
なんてね
必死の抵抗を見せる
日記を公開
回りくどい
SOS
だけど
同情するなとか
言っちゃう辺りが
困っちゃう
その様は
にわとりが先か
たまごが先か
相手にされない
ひなのよう
ささやかな不幸を
もっと
楽しめないの?
それができたら
私の辞書から
無理もムラも
滅亡くなるって話!
午前三時を経過して
隣の人が
歩き出したから
私も
前を見たら
まだ赤で
ここまできたら
と
渡りきった
これが私の
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ゾクってくる
なんとも気持ちの悪い
肌触り
あなたとの関係が
終わっても
切れない関係なら
さらっと笑って
爽やかに富んだ
会話をするのだろう
予定は未然に
防がれた
笑顔のあなたに
耐えきれず
会釈して
早足で逃げる
こける
痛い
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シミひとつない
個性が
汚れて破れて
誰なんだか
判別つかない
紙切れに
踏まれ踏まれて
足跡だらけ
辿ってもどれも
僕じゃない
薄汚い黒に変色
細切れになって
散り散りに
とても
ちっちゃくなった肝
食べると
毒に冒されて
アタマを壊して
暴言吐いた
個性はどこに行った?
下水に流され
消えてった