詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
代わり映えのしない
真夜中に
あの頃と変わらない
空虚を患って
ケータイに向かい
文字を打っている
いつまでも
ぽっかりと空いた穴
塞がることはなく
埋めることもなく
この時間になると
思い出したかのように
空虚を患って
文字を打っている
早く寝ないと
この文字を遺しても
明日に疲れが残るだけ
わかっているのに
利かない親指
あの頃と変わらない
真夜中に
代わり映えのしない
空虚を患って
ケータイに向かい
文字を打っている
喜びはないけれど
他にはないこの場所で
一匙の を描いて
眠りにつくまで
うつろなままで
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いっきょしゅ
いっとうそくと
打ったソバから
「一挙手一投足!」と
すぐさま
変換されるような衝撃が
びびびびびっ!
と
走る!
蹴る!
殴る!
僕
の
頭
を
なんだこれは?
なんなんだきみは!
白身じゃないし
赤身でもない
きみは玉子でもないし
マグロでもないし
ここからじゃ見えない
きみの手で紡がれた
これはなんだ?
見ても
聞いても
触っても
嗅いでも
噛んでも
飲み込んでも
はじめてすぎて
うぁきゃりゃみゃしぇん
なんだこれは?
なんなんだきみは!
あ
失礼
わたしの名前は、
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お前を復活させる呪文
思い出を頼りに
唱えてみたけど
喚びに逝った言霊は
反響となって
首を横に振る
何度唱えても
結果は同じで
お前を収穫できずに
冬を迎え
世間は忙しなく
浮かれている
足どりを合わせるように
僕は
未踏の明日へ
少し立ち止まり
振り返ると
そこにいたのは
お前じゃない
過ぎ去りし日々
記憶の波を
掻き分けて進んでも
残念なエンカウント
遭遇するのは別の何か
お前を復活させる呪文
思い出を頼りに
唱えてみるけど
出現しない
尻尾も掴めない
そもそも
アイツに尻尾なんか
あったっけ?
神がいるなら
お手のものだよ
現実の改竄
楽しかったのは
フィクションで
はじめから
宇宙は
産まれていなかった
と
しても
心は信じて疑わない
復活しないのは
呪文を
間違えて覚えたからだと
いつの日にか
遠くて近い将来に
お前はひょっこり
颯爽と
呼んでもいないのに
目の前に現れ
皆を煙に巻くのだろう
痛いなって笑ってよ
って
言ったら
別の何かに笑われた
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ぼくが何もしなかった日
ちきゅうが寝転んで
たいようは大あくび
すずめはとても静かで
ねこはいぬで丸くなる
ぼくが何もしなかった日
くるまはサーフィンをし
ふねはワンダーフォーゲル
ひこうきはくもとお昼寝
せんしゃは友達と遊ぶ
ぼくが何もしなかった日
せかいは活き活きとして
ゆめは笑っていて
きぼうは泥んこで
よるは好きだと言う
ぼくが何もしなかった日
いきている今も昔も
むだだと思ったのに
うそは優しくて
みんなが幸せそうで
こころは癒されて
ぼくはきみで
きみはいない
だれもいない
ひとりもいない
いない
なにもない
ない
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あっと
いっと
えっと
おっと
かっと
きっと
決闘
さっと
しっと
すっと
せっと
そっと
ちっとも
とっとと
納豆
にっと
ぬっと
ねっと
のっと
はっと
ひっと
ふっと
ほっと
まっと
みっと
むっと
めっと
もっと
やっと
よっと
わっと
を
ん
がっと
ぐっと
げっと
神
ざっと
じっと
ずっと
ぜっと
ぞっと
だっと
どっと
ばっと
びっと
ぶっと
べっと
没頭
ぱっと
ぴっと
ぷっと
ぺっと
ぽっと
きゃっと
きゅっと
しゃっと
しゅっと
しょっと
ちゃっと
ちょっと
にゅっと
ひゃっと
ひゅっと
火男
耳元で囁かれるなら
どれがいい?
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別れがあるのはわかる
わからないのは
別れたあとにも
あなたが
私のそばにいること
あれから
どれくらい
経ったのか
あなたも
きみも
おまえも
みんな
私の心にのこってる
どこかに消えて
もう
戻ってくることもない
それはわかる
わからないのは
別れたあとにも
あなたが
私のそばにいること
いつまでも
消えることのない
あなた
私の心にずっと
ずっと
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たどり着くのはいつも
戻れなくなってから
取りかえて
並べかえては
繰り返し
繰り返し沈んでいくもの
ヒトひとり
消えてしまうだけの
かすかな爆発
灯す 明かり
水底を照らす
赤い秒針
そのスピード
間違いに気付いても
肝心な部分
見つける努力
怠っていたらねえ
人間が大好き
だけど
信じられないと零す
その隣で
関係ないよと
アクビをしながら
午前四時を
回る
砂漠に小さな穴を開け
掘りすすめる
水底まで
たどり着くのはいつも
熱が冷めるまえ
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草木も眠る白銀世界
どこまでも続く寒空に
叶わぬ想い
きみを見る
自由にできるのは
虚構だけで
わたしの手は白く
心は赤く
燃えて止まない
押すことも
引くこともできず
扉のない
閉ざされた世界で
仰ぎ見るのは
眠れ
眠れと
言い聞かせ
胸のうち
抱く我が子は
冷えきって
瞼を降ろし
隠れた双眸
こぼれるものは
唯一無二の
わたしの情念
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眺める先には
真っ白な光景はなく
誰かの描いた
世界を見つめ
はじめるのは
3か4辺りから
何の苦労もなく
手に入れたそれらを
7か8くらいで
放り投げた
未完成より
完成に近いものはない
と
ご丁寧に理由まで