詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
飽きもなく
別れもなく
悲しみのない
充たされた日々は
記憶の中にしか
存在せず
変わりのない
理想的なあの頃を
永続的に繰り返せたら
僕は
今日も幸せですと
心から言える
好きな人たちと
好きな時間に
好きな場所で
好きなことを
好きなだけ
好きにやる生活
それにも飽きて
やがて別れがやって来て
悲しみがどっと押し寄せ
充たされずに出来た隙間
その隙間へと
僕は逃げ込んだ
ふう
ここは永遠じゃないし
昨日とも違う
「好き」のない
無駄とも呼べる
人生の余白
そこには
幸せしかないのに
幸せに感じなくて
向かった先には
どう考えても
幸せはないのに
その方が良い気がして
先程のあれは
心にもない
言葉だったんだと
前言撤回
好きなものが
ひとつもない隙間が
好きなんだとか
誰にも言えない
言いたくない
私の居場所がない
場所にある私の居場所
ふとした時に現れる
論じれば埋められるような
どうしようもない
その隙間に
僕は逃げ込んだ
ふう
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やり終えたあと
扉を開けずに
居続けられるのか
明日には思い出さない
明後日には思い出せない
一度でも離れれば
それで終わり
何年後かに再会しても
知らない誰かのような
微塵も感じぬ懐かしさ
新しいお前はどうだ?
こうやって今
向き合っているお前とも
すれ違っても気付かない
いつかが来るのか
それでもやるのか
終わりだよ
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以来
音沙汰なかった人の
訃報が届く
私が伸びると
人が消え 物を失い
私が枯れると
人や物が更新されていく
私が消えると
みんなは何か失うのか
聞こえない声
見えない彼方へ
いってしまった人に
届かない手
元から連絡なんて
取っていなかったのにね
伝えられないことを知り
流れつたうものもなく
破片を拾い集めるように
思い煩い
歳月を重ね
花も咲かせず枯れていく
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お湯を入れて
3分も
待てない人が聴く音楽は
違いのわかる人にしか
聞き取れないミュージック
私には蚊の鳴く音すら
捕まえられなかったけど
シースルーのあなたには
人を刺さなくなる程に
効き目があるから面白い
宇宙にある成分で
もっとも大切なのは気分
そう言われても笑えない
おかしな
あなたを見ていると
うちたくなるの
終止符を
人前で裸になれても
皮を剥いで
内側を見せることが
可能だとしても
あなたのように丸裸
私自身は見せられない
上から目線なのは
見下されるのが
怖いから
へりくだるのは
さらけだすのが
こわいから
あなたを
馬鹿にするけれど
あなたを
馬鹿にするけれど
私はもっと
アハハハハ
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世界平和を願う者たちの
声を聞き
どこかの誰かが
人間に
新たに与えたチカラ
それは
あの人が居なくなれば
もう少し良くなるのに
そう思った
次の日に
その相手が消える能力
70億近く居た人間は
1ヶ月とかからず
70万人に
残った私たちで
新しい国を作ろう
消えずに残った
私たちの力を合わせば
きっと
世界は平和になるよ
70万人居た人間は
1週間とかからず
70人に
残った私たちで
新しい街を作ろう
消えずに残った
私たちの力を合わせば
今度こそ
世界は平和になるよ
70人の人間は
3日とかからず
たった2人に
私と君で
新しい世界を作ろう
男と女
アダムとイブね
消えずに残った
私たちの力を合わせて
争いのない
平和な世界を作ろう
ささいなことで
ケンカして
次の日
どちらか
1人が消えて
独りになったのは
アダムかイブか
残った1人も
次の日には消えて
70億近く居た人間は
1人残らず
地球から消えて
世界平和を願った者たちは
どこかの誰かに
お礼を言って
平和な世界で幸せに
暮らしたそうな
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呼吸をするように
呼吸して
できるだけ意識して
呼吸をするようにして
だからといって
「俺はいま生きている!」
なんて
実感は湧かなくて
ただ
今も僕は生きている
人生お先真っ暗で
明かりをつけても
「お帰り」と
声をかけてくれそうな
人はいない
とりあえず
生きるだけ生きて
できるだけ意識せずに
生きていくようにして
時々
これ見よがしに
所在なさげに俯いて
誰か心配して
声をかけてくれないか
試してみようか
やめておこう
とりあえず
呼吸だけしておいて
いつからか
「ただいま」と言える
家にも帰らなくなって
増えるのは
体重と文字数ばかり
そろそろ
やめにしようか
書くのを?
それとも
生きるのを?
どっちでもいいだろう
と
そっぽを向いて
あなたが
声をかけてくれないか
見て見ぬフリをして
僕はいま生きている
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きみの言葉
きみの行き先
きみの足跡
きみの見たもの
聞いたもの
残してきたもの
全部ぜんぶ
消されていた
あーあ
きみは今
どこで何をしているのか
調べに行こう
そうしよう
今度は
ぼくが保存するまで
勝手に消去しないで
ね?
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ああでもない
こうでもない
いいでもない
ううでもない
ええでもない
おおでもない
どれでもない
かといったら
そうでもない
でも
そうじゃない
わたしがいいたいのは
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違うって
そうじゃなくて
目玉が
飛び出してるから
気持ち悪いんじゃなくて
大脳が
丸見えだから
気持ち悪いんじゃなくて
笑った口が
耳元まで裂けてるから
気持ち悪いんじゃなくて
鼻と首が
明後日の方を向いてるから
気持ち悪いんでもなくて
肺臓が張り裂けて
「苦しいよ」
息ができないから
きみを見てると
気持ちが悪くて
困るんだ
手や足が
腕や脚が
千切れ血ゃって
あ血こ血に
血らばってて
あっ血もこっ血も
血だらけで
内臓っていうの?
お腹から
腸が飛び出してて
下の毛も全開で
なんかもう
ぷらんぷらんしてて
放置してたら
腐乱してきて
でもね
あなたは
それでも人間で
ゲンケイなんて
カンケイなくて
死ぬまで
でも
死んでも
でも
なくて
死んだら
きみを愛してる
キモいって言わないで
言うなら
「気持ち悪い」
って
略さず
ちゃんと
言ってよ
ね?
シンパイ停止
返事がない
━━━━━━━━
水平線の向こう側
破裂して
飛び散った
こころが痛い
わたしはぼくがすき
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よく利く
アイツを失って
残り半分で
過ごすこれから
慣れるしかなく
上手に動かせるまで
あとどれ位かかるのか
言うことを聞かない
コイツと二人三脚で
歩まなければ
いけない未来なんて
イラナイ
そして
使いこなすのを諦めた
衰えていく
半分になった
全てのワタシは
誰からの応援も虚しく
等しく
効かなくなっていき
放つ香りは
さらさらと
ミンナを虜にするけれど
気分が落ちて
怠くなる