詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
やけに冷え込む
商店街を抜けたら
舗装された森に迷って
まばらに生えた電灯の上
閑古鳥とコウモリの
ざわめき不協和音
白くて粘っこくて臭い
災厄が
落ちてこないかと
そわそわしながら
家路を探す
切り傷
擦り傷
大火傷
刺し違えたあと
倒れたきみに
塗り込んだ穢れ
なのに
一笑に付されたような
ひどいあまのじゃく
純粋で怪我をしてばかり
広がる戦火
考えなしに飛び込んでは
泣きじゃくるその姿
凛々しくて
眩しくて
雄々しくて
女々しいぼくには
とても
見れたものではないな
手を繋いで
隣を歩く
ことはないだろう
明かりを点けても昏い
リビングに戻り
押し寄せる感情を
シャワーで流して
あとは眠る
ように死ね
でも傷が浅いから
二時間程度で
目が覚めて
トイレに逝って
おしまいまいまい
目を奪われて
操られ
深夜徘徊しているところ
きみに出遭って
喰われておしまい
災厄は
他ならぬ
ぼくでした
それとも
誰ですか?
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
きみはまた悪口をいう
本人から
少し離れた場所で
ぼくはまた悪口を返す
本人から
少し離れた場所で
もういいかい
もういいかな
悪い口を切り落とせ
俺がやったんじゃない
この手が
なら切り落とせ
汚いのは俺じゃない
足だ
なら切り落とせ
悪いのは俺じゃない
頭だ
切り落とせ
ひとのことを
わるくいうから
ひとのことを
わるくいうから
そうなるんだよ
わかった?
うるさい口を
切り落とせ
聞きたくない
何も聞きたくない
耳を切り落とせ
目を潰せ
心臓を潰せ
頭を潰せ
潰せ潰せ潰せ
この苦しみは
切り落とせないか
不安もストレスも
怒りも恐怖も倦怠も
不安も責任も罪悪も
未来も過去も現在も
前途多難も憂鬱も不安も
不安も不安も不安も
何もかんも
握り潰せず
拳を震わす
もういいや
もういいよな
悪いのはお前だ
切り落とせ
ぎゃああああああ
ああああああああ
ああああああああ
ああああああああ
ああああああああ
ああああああああ!!
切り落とせ
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欲しかったのは
安寧でも
ぬるま湯でもなかった
夢は熱いうちに打て
ヒットしなくて
どんどん冷めてって
夢から覚めてって
ぬるま湯ですら
なくなって
夢冷めして
凍える心臓が
痛い痛いとすすり泣く
隣人にも聞こえない
程度の声で
延々と
でも消えない
残る
いままでやってきた事や
いままでやらなかった事が
全部
ぼくに残ってる
引き出しに閉まってある
絶対に
開けないが
鍵を忘れて
大事なことを忘れた
大事なことなんて
最初からなかったことを
忘れた
忘れよう
浸かろう
肩まで首まで
頭まで
冷えきったぬるま湯に
浸かろう
朝まで死ぬまで
来世まで
信じてないけど
次があるなら
また失敗
今しかないぞ
その今も
過去になった今現在の
ぼくはどうしようもなく
お尻の穴から火を吹いた
取り返しのつかない事態に
今だけ笑おう
まだ少しだけ浸かろう
これはまだ夢の続きだ
そうに違いない
だから
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修復したって
戻れやしない
ゲームじゃないんだ
薬を飲んでも
回復したって
元通りにはならない
似てはいるけど
全然違う
言っても
わからないかもしれないが
違うんだ
そうしたいなら
好きなだけ
黙るといい
ありったけ
叫ぶといい
この傷みと
どう向き合うか
考え出したら
もう
元には戻れない
決断したら
戻れやしない
あの頃のようには
もう
それじゃあ ね
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最愛の人が死んだ
ただそれだけなのに
悲しくなるのは
なぜだろうと
疑問に思う
ぼくは少数派
涙も出ない
血も涙もない人間だと
非難され
哀しげな視線で
送られるのは
なぜだろう
永遠の別れ
もう会えない
そんなことはない
死んでも
きみはそこにいたし
今だって骨
きみはここにいるし
目や頭や耳や
乳房やお尻
心臓を失っても
最愛は消えない
果てない
なくならない
時が流れて
どれだけきみを
失っても
どれだけきみを
失い続けても
最愛は消えない
涙は流れない
だって
きみはここにいる
ぼくと一緒に
いつまでも
いるんだ
そうだろう?
だから
涙は流さない
想い
寄り添い
いつまでも
いつまでも
きみと
いるんだ
涙なんか
いらないよ
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新しいのは必要ない
別に直さなくてもいい
どうせまた
すぐに
壊れてしまうから
だから
このままでいい
壊れたままでも
まだ使える
失敗して
後悔して
反省しないで
また失敗
同じ過ちを繰り返し
積み重ねてきた失敗を
見向きもせずに
また失敗
反省しないで
諦めて
壊れたままでいいや
なんて
言っちゃうのか
その口は
新しいのは必要ない
別に直さなくてもいい
壊れたままの方がいい
そう思うなら
振り返れ
本気でそう思うのなら
今すぐ
振り返ってみせろ
山積みにした失敗を
今すぐ
直視してみろよ
出来ないんなら
壊れたままの方がいい
だとか
口にするなよな
よくないけれど
どうしようもない
壊れたままでいい
なんて
そんなことはない
けれど
どうしようもない
諦めるしかない時もある
なんて
そんなことはない
なんて
言えない
壊れてからじゃ遅い
なんて
今さら遅いよ
そんなことを言われても
私は私は壊れたままで
後ろは見ずに前を見てる
壊れても
壊れても
どこまでも
どこまでも前だけを
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起きて
承って
転がらずに
元来た道を歩いて帰る
振り出しから
別の道を選んではまた
少しだけ先へ
スタート地点が
見え隠れする場所にて
それより先に進むのが
面倒になって
やり直したくなって
他にもっと良好な
結果に繋がりそうな道が
あるんじゃないかって
嫌になって
また引き返す
結果よりも
経過の方が大切だって
誰かが言ってたけれどさ
旅の途中
真ん中より向こう側へ
行ったことのない
わたしを
いつまで結果は
待ってくれるんだろうか
別な意味での
折り返し地点まで
あと少しなのに
まだ半分以上
というか
始まりから数歩しか
進んでいないとか
どうなんだ?
中途半端な結果を残して
死んでしまうのか
それは嫌だな
うん嫌だ
転がれ 転がれ
まだ間に合う
わたしのラストを
結ぶのは
わたししか
いないんだから
それがエゴでも
起承転結
安心安全な場所から
飛び出して
まだ見ぬ荒野へ
転がれ わたし
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たった今
この心臓が
止まっていたら
『わたし』という意味は
消えていましたか
たった今
この地球が
爆発していたら
『わたし』という意味は
消えていましたか
たった今
この宇宙が
寿命を迎えていたら
『わたし』という意味は
消えていましたか
せかいのおわりが
わたしのおわりか
わたしのおわりが
わたしのおわりか
そもそも
わたしには意味なんて
途中経過の
『わたし』は漏らす
はじめから
意味がないのなら
おわりだって無意味
意味無意味無味無双
終着駅の見えない
自己解釈中心の議論は
エンドレスゲーム
そもそも
意味ってどんな意味
辞書を引いて
調べることに
どれだけの意味があるの
わたしに
意味がないのなら
あなたにも
意味がない
あなたに
意味がないのなら
やっぱりわたしに
意味がない
だからそれなら
そうだなそうだ
意味がないなら
意味がないこと
考えたって意味がない
意味のないせかいで
意味のないわたしと
意味のないあなたで
意味のないことをしよう
何をしたって意味ないよ
だから
何をしたっていいじゃんよ
死んでもいいよ
生きてもいいよ
毎日を
無意味に過ごしたって
いいじゃんか
これからも
意味なく
意味のないことをしよう
そうしよう
やっぱり
面倒だから何もしないで
寝転ぼう
ごろごろごろ
寝よう
息をしよう
死ぬまで生きよう
別に特に意味はないけど
言葉にしよう
意味なく生きてる
『わたし』は大嫌いだよ
でも
『わたし』を嫌う
意味なんて
ないよ
本当だよ
でもたぶん
嘘だよ
意味がないなら
わたしもあなたも
はじめからいないよ
だから
たった今
わたしが『わたし』を
見失っても
意味なんて気にしないで
消えないで?
うん
まあいっかで
次のページに進んじゃえ
返事はないね
じゃあ意味ないね
そんな今
たった今
あなたと目が合った
意味なんて
ねえ?
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思い出すのは
いつも背中
あの時
きみは
どんな顔をしていたのか
思い出せない
思い出せないのは
あなたが
背を向けていたからよ
そっか
じゃあ
ぼくが見ていたのは
誰の背中だ
あなたのママよ
このマザコン
そうか
そうだな
思い返せば
いつもそう
母はぼくを
見ていなかった
彼女が見ていたのは
父の背中
ではない
名前も覚えていない
あの人の背中だった
あなたの背中に
文字を書く
人差し指で
言葉を描く
ぞくりと伝わる
きみの声 泣き声に
振り向けば
顔を合わせる二人と
背中合わせになった二人
計三人とあと数人
合わせていけば
ねずみのように
増えていく
誰に背を向けて
誰と顔を合わせるか
それは
気分次第の自分次第
背中合わせ
鉢合わせての
顔合わせ
表を向けば裏には裏が
表の前には裏か表が
いま
ぼくの前には
わたしの前には
ひとりの誰かが笑ってる
その裏で
泣いているのは何人か
ぼくが見ていたいのは
わたしが見ているのは
そう
背後から忍び寄る
かなしい歌には
目もくれず
一心不乱に顔合わせ
ふたりで一緒に笑ってる
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あと1回
生きて
もう1回
しんで
生き返ったら
わかるかもしれない
喜びと悲しみ
けれど
しなない
わからない
しんだらどこにいくのか
少なくとも
生き返りはしないよ
来世まで
頭上にあるカウントは
999999で
ストップしているのか
自分では
確かめられないし
わからないことだらけ
だけれど
わかるのは
少なくとも
あと1回
生きてしんで
もういいかい
ま〜だだよ
もう一回だけ
生き返ったら
まだ見ぬきみと
愛し愛され愛し合い
喜びと悲しみを知り
わかるかもしれない
いままで
わからなかったこと
自分を好きになることも
自分以外の
誰かを好きになることも
そもそも
好きって何なのか
愛し合えば
わかるんでしょう?
生としも
いままで出会った
皆さんの
心のことも何もかも
わかるんでしょう
そうでしょう
泣いたって
わからないもの
涙の意味も
鳴いたって
わからないもの
きみのこと
だからしにます
ダメですか?
はじめに1回
それで終わり
そんな人生
受け入れられない
リセットしようよ
無理ですか?
あと1回
生きて
その前に
しなないで
今
生きて
にゃあ
鳴いたって
わからにゃいもの
いえすかのーか
ハイ
しんだ