詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
見た目は特に
かわいくないんです
だって別に興味だって
さらさらなかったし
どちらかといえばぼくは
黒い方が好きだし
でもね
音痴なぼくが
なんかうたを歌いながら
歩いているときみは
後ろからそっと
ついてきてぼくが
振り向くときみは
大きな
あくびをするように
ないたから
たぶん
好きになりました
それからというもの
行き帰り
思い出せばきみのこと
探す日々が続き
これといった苦労も
することなくきみを
見つけた
けれども
きみはその時にはもう
ぼくなど眼中になく
他の誰かをじいっと
食い入るように
見ていました
なんだよもう
おれのことなんかもう
っていうか最初から別に
どうでもよかったのかよ
なんて思ったり
したけどきみに罪はなく
たぶんなく
思わせ振りな態度
とったきみには罪はなく
勝手に好きになった
ぼくが悪い
たぶん
そうなのかなあ
わかんないなあ
なんだかなあ
バカだよなあ
そう思いながら今日も
またきみを探すのでした
あー
ねこの話ね
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冷たい冬の公園で
頭の小さな鳩のオスが
同じ鳩の死体を眺めてる
その様子を切り取って
まるで外国の美術館に
飾られてある絵画みたいに
僕はそれを見ている
大げさだけどね
歩きながら移動しながら
はるか遠く角を曲がって
見えなくなって
しまったあとも
帰り道
鳩も公園も闇に落ちた時も
後日
何気なくその場所を
通ったりした時もさ
僕はその光景を
鮮明なままで見ていたい
うっすらと
こぼれる記憶
歩く両足
散らしながら
第三者の立場から
いつだってそうだった
あの日の昼休み
二次会の途中と
別れたあとも
いつだって
遠くから
はるか彼方から
見ていたんだ
冷たい冬の公園の景色
鳩のオスと鳩の死体
ひとり歩きがうまくなる
僕は見ていた
僕が見ていた
冷たい冬の
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あなたが何を
書いて叫ぼうが
ぼくには
関係ないですから
だから
ぼくが何を書き
それが紙を汚すだけの
糞であろうと
あなたには
届かないのでしょう
きみはまた
そんなことを書いて
涙を流して血を流す
構ってほしいんでしょうか
叱ってほしいんでしょうか
傍観するしかしませんが
関わりたくはないが
無言で見ていたい
暗い言葉の打ち跡を
それは詩ではありません
それでも見せたいのですか
不特定多数のわたしに
きみは見せたいのですか
自意識過剰な自慰ですか
流れている血が
怪我でもリスカでも
生理でも正義でも
別に特に何も
書いたらいいと思ってる
吐いたらいいと思ってる
糞でも血でもゲロでも
愚痴でも悪口でも
日々だとか夢だとか
愛だの恋だの病気だの
それを詩だとか思ってる
否定はしたいが
肯定はしない
胸クソ悪くて気持ち悪い?
でしょうねえ
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朝に起きました
学校に行きました
勉強をしました
ご飯を食べました
勉強をしました
家に帰りました
夜に寝ました
今を生きていました
十代でした
朝に起きました
会社に行きました
仕事をしました
ご飯を食べました
仕事をしました
家に帰りました
夜に寝ました
今を生きました
二十代です
時間が流れています
今を生きています
それだけです
どれだけですか
これっぽっちも
ありゃしまへんわ
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せせらぎが聞こえない
虹もセピアもモノクロも
どんな色をしているのか
さっぱりで
秋の心と哀しい汽笛
漂う匂いに透かされて
いったいどんな姿勢で
揺られているのか
それさえも
片側だけでは
大きくはならない
振り子の心
ごめんね
伝わっているのかも
確かめられなくて
明かり先
靡かぬアカシア
影にして
震えてなければ
いいけれど
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無色透明のゴミ袋
そんな風に
ぼくらの頭も
可視化されたらな
余計な詮索
しなくて済むのに
未練がましく関係を
続けることもないしさ
頭の隅に追いやって
中々
捨てられないでいたもの
まとめてポイっと
しちゃえるのに
分別つけられない
収集してもらえない
この首刎ねて
これ以上
悔いのない関係を
新たに始めたい
なんて
とんだ甘えん坊さんね
だから
壊してしまうんでしょう
鏡を貸してあげましょう
無色透明になった
頭を見たら
頭を抱えて
アナタ
壊れてしまうでしょうね
今夜は特に冷えるから
出さないように
気をつけて
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切り売りされた感性を
買ってみた
共に
感じてみたかったから
見事にハマッて
抜け出せなくて
近付きたくて
近付いていく
縮める距離
深めて乖離
あなた
あたま
回転させて
わたし
あたま
削いでいく
そうそうその調子
焼かれる前に
生でイッちゃえ
誕生か喪失か
切除と再生
繰り返していくうちに
慣れたら死んで
あなたかわたしか
紛らわしいな
この感性
浮かばぬ言の葉
脱け出したくて
追いかけても
遠退いていく
離れる距離
浅くて剥離
あなた
あたま
わたし
はくし
じきに忘れる
だから気にするな
この完成も
したことすらも
以前
どこかで見たような
それでもなお
衰え
劣って
おとなしく
自ら切って売るんだろ
感性
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201X年
詩人の部屋は
「書く!」の
炎に包まれた
詩人であり
予言者でもあった
タンカヤ・L・アイクの
大日記の記述通り
「ぺろぺろ あぁん」
モヒカン頭の漢たちが
汗だくになりながら
魔力!気力!超力!ガッツ
熱血ど根性これ最強!
とか言い出したのである
しかし
管理人にマークされ
槍玉に挙げられたのは
L「私があいくたんです」
管理人「!?」
L「性戯は必ず勝つ!」
管理人「駄目だコイツ
早くなんとか
しないと……」
管理人が一晩で
削除!削除!削除!
してくれたおかげで
片恋派の住人達も
気軽に作品を
書けるように
なりましたとさ
住人「面白っ
……くない」
汗・熱血・エロス
この世のすべてを
手に入れた漢
タンカヤ・L・アイク
彼の寝る間際に
放ったオナラは
人々を詩人の部屋に
駆り立てたのか
定かではないが
そんなことより……
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喉から出た手
掴んで
お前を引っ張り出して
その目に映る
中心人物
観れたらさ
鏡ですら見逃した
醜悪に
気付き傷付き
築きキツツキ
死ねるかな
そんな度胸は
ないのでしょう
やらなくたって
わかるでしょう
お前でなくても
この眼で暴ける
羞恥の事実
一刀show!
夢があるだの
未来に想いを馳せては
これまでの人生で
たったの一度も
努力をしたことがない
本気を出したことも
死ぬ気で
死に物狂ったことも
ない
いつも別の何かに
置き換えて何かを
遠回しに
ごちゃごちゃと
めちゃくちゃに
表現するけれど
結果
意味不明になるけれど
何よりも
わけがわからないのは
他の何かに
喩えられない何か
とても身近な
というか
そのものズバリの
それは
唯一といってもいい
言葉にできない
それは
掴まれる前に
喉から手を引っ込める
ことはおろか
喉から手も足も出せない
おくびにも出せない
欠片も勇気のない
それが
この目には映らない
すみっこの
し
kikaku2011al