詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
ししとう
にんじん
たべたいな
いるか
なきむし
ららららら
しっとりうたえず
ねるこをおこす
ばいばい
いつまでも
いつまでも
のんきに
にっこりてをふれば
ねこもわらってら
横打ち縦読み
斜め上をいく
あなたは
右見て左見て
下を向いて
靴を脱いで
真っ逆さま
ねっとってこわいね
ことばってこわいね
でも
にんげんが
いちばんこわいよね
横書きだから
縦に読んでも
意味などないよ
天文学的数字という
作られた数字でしか
起きない奇跡
あるいは不幸で
しねばいいのに
なんて
あなたが
読んじゃったとしても
私に責任
ないですよね
どの指がいう
手錠をじゃらじゃら
オリの中から発信だ
だましだまし
からだをうごかし
ららららら
しみるうたごえ
なかないでと
なきながら
いってうたって
でもねこはもういない
縦にも読めるが
深読みしないで
意味なんかないって
あっても
それは
俺のじゃなくて
レノンもびっくり
あなたのイマジン
作者の気持ちも
意図も心情も
言いたいことにも
別に全然
応えなくてもいいんだよ
踏みにじって
ねじ曲げても
あーそれ違うからって
先生に指摘されても
問題ないよ
間違えてないよ
そもそも
問題なんてないし
五十文字以内で
答えなくてもいいんだよ
読み方は自由で
書き手の気持ちは関係な
くはない
けど
それ以上に
読み手の気持ちが大切だ
とは断言はできない
つまり
何が言いたいのかって
いうと
今の僕の気持ちは
察して無視して
あなたの感想を
一言コメントして下さい
お願いします
お願いします
きびきびと
よくようつけて
きょうもうたう
いちばんめざして
つたえたいあなたに
ぴったりのうた
よぞらにむかって
うたうからこっち
をむいて
! にゃ〜んてね
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隣室から
枕元へと響く声
とても不安定
気になって目が冴えて
眠れないのは
お前のせいか
けれども
ドアを叩く勇気はなくて
蹴破る力も
あるわけがない
インターホン
押す人差し指とこの心
折れる前に諦めた
黙って頭まで
布団をかぶって
数えるよ
黒い山羊の数
偶像でもいい
有象でも無象でもいい
疑うことも思い出さず
片時も忘れず
信じることができるもの
ひとつでいいから
くださいな
見上げた月から見下せば
とてもちっぽけな存在
そうだと言うなら
権利も証明も
要りませんから
私が誰でもいいから
何でもいいから
あかりを下さい
離れた場所から
照らして下さい
黒い山羊に
囲まれて
まわる影
長く伸び
ゆらり
ゆらゆらゆれ動く
中心に光
私の姿は見えない
熱にうかされず
冷たく静かな夜
今もこの胸は
猜疑心でいっぱいだ
音も無く忍び寄る声
お前のせいで眠れない
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
指のながさ
手のおおきさ
両手ですくえる
ひとの数
みんなちがう
こぼれ落ちるひと
すくわれなかったひと
すくわれても
食べられて
その一生をおえるひと
ぼくらは
あまくて
とても美味しい
だから
たべられる
吸い込まれるように
しんでいく
隙間から落ちて
しんでいく
置き去りにされて
くちていく
ぼくらは柔らかくて
もろい
集合しても
すぐに
くずされ
離ればなれ
誰ひとり
すくわれなければ
ぼくらはみんな
幸せになれるのにな
幸せになれるのかな
それでも
なれないのかな幸せに
それならせめて
すくわれたいよ
両手で上手に
すくってよ
などと記しており
本当に
すくいがなかったのか
調べることもなく
しんこうしているひと
むかんしんなひと
むていこうなひと
すべてのひとに
さちあれ
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バイオリンなのか
チェロなのか
それすらわからない
ぼくの耳には
届かない
国語の教科書
オーケストラ
左端にうつる
彼女の演奏は
1ページ戻れば
彼女の
幼少の頃のお話で
知らない名前の
海外の作家が
書いた小説
それがとても面白く
学校帰り
本屋に立ち寄り
買おうかななんて
思っていたけれど
終わりのチャイム
鳴る前に
夢から覚めた
作品のタイトルも内容も
もう思い出せそうに
ないけれど
どこか疲れた
少し寂しそうな
チェロか
バイオリン弾きの
彼女の横顔だけが
今も
頭の裏にやきついて
離れない
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真昼に浮かぶ満月は
青空宇宙に
ひっそりと佇んでいる
あの子を亡き者にした
犯人も
外部に答を求めた
受験生も
そりゃあ
悪いけどさ
他にもいるよね
うっすらと白く
ぼんやりと浮かんでる
真昼の満月のように
ほとんどの人は
見つけようともしないけど
なんで
一人で行かせたんだ
とか
どうしてもっと
注意してなかったんだ
とかさ
今さらだけど
やれることはあったよね
他にも人はいたよね
対策を練るのは
いつも
誰かが何かが
犠牲になったあと
しかも
忘れてしまうんだ
それも
近いうちに
言うだけ言って
ぼくは
何もしないけど
陽は沈み
皆が寝静まった頃
などもう二度と来ないが
夜空には
昼間
目立たなかった満月が
煌々と輝いている
背後には星の群れが
蠢いている
あなたの立つ場所から
どれだけの星が
見えるかはわからない
けれど
見えなくても星は星
先読みできない
九割以上
白紙の脚本
暗黒に支配された宇宙
ぼくらには見えない
不確かな存在を前にして
見上げれば
そこにはほら
白昼に浮かぶ月は夢の中
雲に隠れていて
今日は見えなかった
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月を見て
振る尻尾
喜びをあらわすのは
いつも影
怯えなくてもいいんだよ
月を見て
振る尻尾
それを見て
勇気づけられる人もいる
遠くで見ている月
片時も離れない影
怖くないよ
吠えなくてもいいよ
怯えなくてもいいんだよ
尻尾を振りなよ
それだけで
勇気づけられる人がいる
共に喜びをわかち合える
難しいことじゃないんだ
月を見て
尻尾をさ
振ってみようよ
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ぼくらに何ができる?
時間は巻き戻せない
早送りもできない
けど
再生できる
ぼくらは
神様じゃないし
魔法使いでもない
昨日を
なかったことに
できないし
今日をトばして
未来には進めない
たったひとりで
世界を救おうとしても
それを為すだけの力を
授かってはいない
けど
ひとりじゃないよね
ちからがないひと
ひとりひとりが
ちからをあわせれば
無力じゃない
再生できる
今日を生きて
未来に繋ごう
考えよう
ぼくらに何ができる?
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誰かの投げた言葉が
たまたま通りかかった
誰かに当たった
目には目を
言葉には言葉を
本人なのか誰かなのか
傷ついた誰かは
言葉を投げ返した
あなたの選んだ言葉が
どれだけ正しくても
わたしの投げた言葉が
どれだけ汚くても
誰かにとっては
たぶん一緒
当たれば痛いの
痛いの
痛いの
飛んでかないの
どこにもいかない痛み
ずきずきと
左胸をノックする
誰かを傷つけたのは
あなたですか?
それとも
わたしですか?
開いた左胸のドア
そこには誰もいなかった
ここにはいない
それは
心にない言葉
投げた瞬間
出ていった
わたしやあなた
どこか遠くへ
誰かの元へ
だから
耳を澄ませた
聞こえてくるまで傾けた
もう投げないで
わたしをあなたを
大事にしてね
自分自身を
見つけたそれは
心からの言葉
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お金を下さい
いくらあっても
今は足りない
食料を下さい
買い占められると
足りるものまで
足りなくなるよ
そこにあるのに
ここまで届かない
足がないよ
持ち運ぶための
エネルギーを下さい
人手が足りない
猫の手じゃね
癒しにはなるけれど
もっと多くの人たちの
力が欲しいの
助けて下さい
救って下さい
まだまだ足りない
愛だとか
優しさだとか
目に見えないものより
目に見えるものの方が
欲しても
手に入らないこともある
売名でも
偽善でも
自己満足でも
あなたに
どんな得があるのか
知らないけれど
目に見える
この手で触れられる
形ある何かを
わけてくれるのなら
それだけで
ありがたいの
きっと
今は
そういう時だから
形あるものを下さい
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崖から落ちたら
夢でした みたいな
安心安全パイパイな
リスクなき絶望感
崖の上 雲の上から
俯瞰して
味わいたいの
他人の不幸 眺め
我が身
重ね合わせてはみるけれど
ひとつにはならないで
背後から
つつくような感覚
キモチイイのは
僕だけですか?
それでも
問題は何も
でも
答は知りたい
あなたの下した決断を
どうにもならない結末を
取るに足らない
第三者の視点から
ずっと見ていたい
不道徳 不謹慎 不実
気持ち悪い奴だと
罵られても
見下されても
やめられない背徳の
液
それはとても
とてもとても
幸せな気分なんだろうな