詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
喉元過ぎれば
満たされていく
幸せな気分
寝て覚めて
そろそろ
お腹が減る頃か
明日になれば
陽はまた昇る
けれども
ぼくらの列島は
沈めば最後
明日はないぞ
復興が先か
事故が先か
盛り上がる熱
渦となり
ぼくらを巻き込んで
どこへ行く
叫んで騒いで
また明日
解散
閑散とする思考
ああ
いい気持ち
浮かぶ列島に揺られ
「 次はもっと
人を集めて
やってやる 」
仲間を増やせば殊更に
心地よく眠れるものか
少しは
飢えを味わえよ
流した涙は
誰の為
使われるのだろう
自己満足の救援物資
届いた先の感情までは
知りたがらない
平和は幻想だ
生きている限り
安全な場所はない
だから
もっと
大きな声で
思いを伝えるんだ
酔いしれる革命家
集う人々
覚えていますか
目的地
賛成派も反対派も
マスコミも政治家も
中立でも興味がなくても
立っているのは列島の上
沈めば諸共
海の藻屑に
明日になれば
陽はまた昇る
けれども
ぼくらの列島は
沈めば最後
明日はないぞ
行動するなら
夜明け前
思考は停止させないで
見失わずに目的地へ
ぼくらが
生きているうちに
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吐けない糸に身を包み
生えない羽を夢に見て
ふとした瞬間
孵った我は
人間にとって害のある
虫ではなかった
全く成長しないのなら
手も足も意識も要らない
日陰に住み
もぞもぞと動く
見る者を不快にさせる
虫になりたい
薬を浴びせられ
のたうち回れば
早く死ねよと冷たい目
私が居なくなれば
束の間
皆に幸せが訪れる
この上ない終わり
人の姿で祈っても
目が覚めれば
失っていない我
虫にはなれない
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タンスが笑ってる
カーテンが喜んでいる
ドアノブが楽しそう
この部屋で
感情が無いのは
ぼくだけだ
時計が狂ってる
炊飯器が喚いている
クローゼットが泣きだした
渦巻く喜怒哀楽
部屋の隅々に散らかって
吐き出されるそれら
ふと視線を感じて
振り向くと
目が合った
鏡が無表情に
ぼくを見ている
この部屋で
感情が無いのは
ぼくだけだと思っていた
意地悪なパソコンに
呑気な枕
嘲るテレビに
窓は優しく微笑んで
退屈そうな充電器
心が揺れた
互いに影響し合って
色を変えていく部屋の中
鏡は笑った
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アスファルトに
油をたらせば
美味しく焼けるだろうか
朝から嫌なものを見た
味気ない空気
噛まずに飲み込んで
無関心を装った
人前で死ぬのは
別に
恥ずかしいことじゃない
電車に乗って
ハンカチで汗を拭っても
まだ
頭の裏から流れてくる
なき声
みんな
見えているのに
見ない振り
寝ぼけた胸中で
不快には思ったとしても
その日の午後には
他のストレスに埋もれ
忘れてしまうんだろうな
ほら
帰り道には
綺麗さっぱり消えていた
香ばしいにおいも
漂わせずに
この国は
とてもクリーンで
少しも鼻腔をくすぐらない
わたしの感じる倦怠感の
理由は夏の暑さだけで
説明できるしね
過ぎ去る人々に
最早
見向きもされない道路脇
陽が落ちる間際
点る外灯
きみの顔を思い出せない
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仲間以外は
赤の他人なんでしょう
友達の居ない人は
虐げられるんでしょう
干渉せずには
生きていけない
世の中だから
絶望の淵
伸ばしてきた手を
拒む権利は無いんだね
このまま
死なせてくれたら
楽になれるのに
いくらか金を
掴ませて
そっと手を離す
機会を伺っているけれど
足りない
まだ足りないと
搾取され
骨と皮と
心臓だけになっても
生きている
まだ生きている
お前らに生かされている
希望の光に
身を焦がし
どの道もう
ひとりでは
生きていけない気がした
苦しむだけの未来を
前だけを向いて
どこまでも行ける
幸運を呪っても
血も涙も出ない
手を離せよ
痩せ細る声を大にして
弱々しく猛るけど
お前らは
微笑ましげに
見ているばかり
明るい光に照らされた
平和な世界に安住
手と手を取り合って
幸せに生きることは
素晴らしい なんて
誰もが
安らげると思うなよ
滑り落ちれば
バッドエンド
けれども
お前らは手を離さない
心臓に鞭を打ち
嗚咽する無様な姿
その様を
目を細めて
見ているばかり
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地縛霊になってしまった
わたしのたましいは
どのような経緯で
現世に思い止まったのか
丑三つ時
夜風に揺れる柳の下で
考えてみることにした
怨み辛みはあっても
肉体を捨てたあとまで
手放せない代物でもない
まだ生きていたかった
けれども
未練と呼べるほど
執着してもいないのに
どちらかと言えば
はやく
消えてしまいたかった
早々に諦めていたんだ
思い描いた最上の人生は
窓の外
生まれる前から
違うレールの上の人生を
走っていたし
やる前から
匙を投げていたので
すくえるものも
当然なくて
何も手に入らないと
祭りのあと
なくしたものを
探していたっけ
それも
すぐに諦めたけど
思い返せば
わたしって
最低だ最悪だ
最底辺に堕落するまで
何もしてこなかった
だなんて
なんてバカなんだ
まあ何を言っても
あとの祭り
今更遅いよ
そうやって
諦める癖は
どうやら死んでも
直らなかったみたいだ
笑えないし
涙も出ない
いつからだろう
いつからなんだ
低レベルな悪に
染まってしまったのは
始発から
生まれ落ちる前から
性悪だったのなら
運も悪かったな
最初からこうなると
約束されていたのなら
破る勇気は
どこに放り投げたんだ
思い返せば
打ち寄せる怒り
怨み辛みは己にばかり
そうか
わたしはわたしが憎くて
この地に縛られているんだ
嗚呼
バカも直らなかったとは
はやく
消えてしまいたい
強く思えば思うほど
どこにも行けなくて
誰かに祝福される前に
トイレに流された
きみに笑顔はなく
泣くこともせずに
わたしを見ている
諦めることも
出来なかった
無垢なたましいもまた
消化されずに
縛られている
そうだよな
最初から
汚れていた訳じゃない
手垢や糞に塗れていても
血塗れでも
それでもきみは
先天的な悪など居ない
悪いのは
何もしてこなかった
わたしじゃないか
きみと
しずかに目を合わせた
わたしは
あの世に行くことすら
諦めて
きみを見た
そして
生前のことを
思い出すのを止めた途たn
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尿道に
大根を突っ込んで
出し入れするくらいの
痛みだったら
快感すら覚える
それが男と仮定しても
さっきから
鈍い痛みが延々続いてる
この下腹部の気持ちは
永遠に
わからないでしょう
私にだって
理解不能だもの
我慢は美徳だと
鏡を前にしても言えるのか
苦痛に身を歪ませる
化け物から目を逸らさずに
それでも
結婚しようって誓える?
誓えるのなら
それはきっと
真実の愛かもしれないね
一瞬の好き
死が二人を別つまでに
離ればなれに
なったとしても
さっきから
鈍い痛みが延々続いてる
頼りなるアナタに
頼るのはもうよそうって
何度も思うけれど
もう限界
青いゼリーを
オカズにすれば
何杯でもいけるとかほざく
バカな男の幻想も
私の願いも聞き入れずに
流れ出る血液
そこにはなんの
エロティシズムもなく
あるのは鈍い痛みと
ありふれた生活感
それだけ
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一億円の夜も
ひとりだと寂しい
何兆何京と
かける額に反比例して
目減りする光
空から星が消えていく
もういいよ
瞼を閉じて
目を覚ませ
キングサイズの草むらに
寝転がって願いを捨てた
どこにも繋がらない
無縁の夜は
きみも居ない
虚空に手を伸ばす
愚か者は笑い者
掴めない何も
わかっているのに
朝が来ても
輝かない日々
いい加減に慣れろよ
ひとりの夜は今も寂しい
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投票箱の
ふたを開けると
用紙に紛れて
誰かの手が入っていた
その手を手に取って
小首を傾げる
何者かの
手首から先のそれは一体
どうして
箱の中にあったのか
もしかしたら
投票する際に
用紙でさくっと
やっちゃって
切り落として
しまったのかもしれないな
紙って結構
鋭利なんだもの
油断してると
指先とかも痛っ
ってなるものね
それにしても手
この手
誰の手
気になる手
落とし主は誰だろう
利き手かどうかは
知らないが
普段使っているものが
突然なくなったら
不便だよね
片方だけなら
どうにかなるかな
両方なくたって
頭を使えば
足を使えば手になると
気付くものだろうけど
けれども
この手
この手で
投票してくれたのなら
持ち主にとって
どうかは知らないけれど
わたしたちにとっては
大切なものですからね
そう
大切なのは
投票すること
その行為自体じゃなくて
あなたが
この手を使って
投票してくれたこと
そうだよね
わたしはそう思うから
手に手を伸ばし
わたしの手で
あなたの手を掴んで
離さない
じゃなかった
この手に込められた
あなたの想いごと全部
抱きしめるように
握手する
投票してくれて
ありがとう
わたしの手
握り返すかどうかは
あなた次第
けれども
肝心の
あなたはここに居ない
だからね
探したいんだ
投票を終え
どこかに消えた
この手の持ち主を
kikaku2012手