詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
逃したことばは奇迹
少し目をはなした隙に
あたまから飛び出して
消息をたった
そのすがた思い出そうと
架空を
なぞってみるけれど
ううん
見えてこない
覚えていない
詩にできない
このきもち
あなたにも
わかるでしょうか
どなたにも
伝えられない
このもどかしさよ
あの時
したためていれば
くそうと悔やむ
わたしから
離れていった
ことばはいつか
だれかのうちに灯るのか
それならそれでと
抑えるきもち
そうさくの打ちきりへ
ことばは奇迹
だれかひとりに縛れない
逃してもお気になさらず
次を待とう
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表示された
電池の残量が
残りの人生時間を表す
指針のひとつだったなら
明日が来るまでに
宿題をやりますか
学校に駅前に
コンビニに友人宅に
忘れてしまった傘は何本
盗られた傘は何本ですか
雨が弾丸だったなら
奪られた命は数えきれず
あと何機で
ゲームオーバーですか
後ろめたい未来
記憶のレコーダー
一昨日から
停まったままです
病院に行くまで
末期になるまで
拒んでいたのに
いざ入院してみれば
白い極楽
もう出たくありませんし
まだ死にたくありません
挟んだ栞をどこにやった
あれがないと
続きを歩めないだろう
そうは
言うけど
結末は見えてるんだ
どこから始めたって
いつかは終わるんだ
なら
別にどこからだって
そうは
言っても
自分を探す自分すら
見失ってしまったら
本のタイトルは他人
真っ赤な表紙が目印に
もうすぐ朝陽が昇るけど
まだ夜のままなのかい
出された宿題は
一問でも解けたのかい
マンモスじゃないんだ
凍ったままでは
誰にも夢は
見せられないぞ
今日の献立
昨晩のうちに考えてたら
目の前がちかちか
耳鳴りが酷くって
騒がしい終わり方だなあ
と
永い眠りにつくのでした
それから何度も
バッドエンドを繰り返し
ようやく手に入れた
勝者の証
それを売れば
いくらになるか
盗らぬタヌキは
愛らしくも憎らしく
生計は崩壊する
でも
関係なく生きていける
だから
寝る前にセッ
宿題をしなさい
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中出しだけが
愛だって言うなら
この関係を
終わらせなきゃね
持たず
作らず
持ち込ませないよう
工夫して
平穏無事にヤッてきた
そのうち
服すら脱がさなくなって
となりに
きみがいれば幸せ
だとか
汁ひとつ溢さなくなって
何年だ
中出しだけが
愛だって言うなら
この関係は
フィクションですか?
思い描いた景色には
おぼろげに輝く結晶が
今は
見ないようにしている
けれども
背を向けたって
聞こえてくる泣き声
振り向けば
愛する人と育む筈だった
あどけない笑顔が
そこにあって
明けない未来を
不況のせいばかりにして
挿し込むことすら
拒んでいた
進展するのが怖くて
時間がそれを許さなくって
期待と心配入り交じる
周りの目や口が
うざったくって
しょうがなくて
幸せだった
ふたりきりの歳月が
ふたりから
逃げ場を奪い去ったとか
やめろ
全部俺のせいじゃないか
先に眠る
きみを起こさないように
静かにベッドに入る
掛け布団の下
ぬくもりを求めて
寝返りを打とうとする
きみを逃がさないように
そっと
手を握る
それだけの行為
それだけの行為が
やっとなんですが
うまれるものは
愛じゃないの
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空を飛ぶための翅を
動かして
ミツバチは何を得る
飛んでいく先に
待ち受けるのは花
誘われて
触れたらわかる
ミツバチは蜜を得る
詩を書くための筆を
動かして
うたい人は何を得る
書き綴った先に
待ち受けるのはあなた
誘うように
触れればわかる
うたい人が得るものは
うたい人が失うものは
完成したそばから
この手から飛び立ち
去っていくのはそう
言の葉
此処から
彼方まで行けば
ほら
あなたまで届いた
頭のうちから
心にまで辿り着いたら
口を閉じてみて
揺さぶるものがあったなら
それでも
あなたは言葉を失うから
花とミツバチ
交わらなければ
うまれないものもある
失わなければ
得られないものもある
だから
新しい言葉を紡いでは
こうして
飛ばしているのです
まだ見ぬ
あなたへ届けと
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受け取った両の眼で
見たものは
サファイアよりも
青い空と
みすぼらしい姿の誰か
心臓さえも人に与えて
ツバメの姿もありません
こころここにあらず
けれど
幸せそうな笑顔の誰か
誰かの中で
とくんとくん
明日を与えて
生きている
受け取った両の眼で
見たものは
ルビーよりも
赤い夕焼けや
金色に輝く朝でした
わたしは
明日を受け取り
生きていく
こころ
失わないように
この街で
あなたと共に
幸せになるよ
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カレー粉を入れたあとに
カレーを作り直すには
出来たカレーを
棄てるしかない
新しい一歩踏み出すたび
過去のつぶやきを
抹消する私
そうして
再出発だと自分探しの旅
これまでの自分を清算する
って言うけどさあ
ケリもオチもつけずに
手前勝手に
終わらせようとするなんて
終わってるよなあ本当に
煮込み過ぎたカレー
底の焦げた鍋
もうどうしようもなく
不味いな
どうしよう
棄てようとして気付く
空っぽになった箱に
何の兆しもありゃしない
貸した貸し
いつまで経っても
返ってきません
借りた借り
いつまで経っても
返せません
すみません
いくら謝っても
済みません
なんて呟いたか
覚えていません
だからって
都合よく
無かったことには
できません
不味いな
どうしよう
清算しようとして気付く
空っぽだった人生に
歩んできた足跡は
土に埋もれ
帰らぬ人は
行き場も失ってしまった
未来のない虚空を前に
ただただ
呆然と立ち尽くしても
何の兆しもありゃしない
終わってるよなあ本当に
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前へ進めなくても
前を向いていられるなら
生まれた場所が
墓場になっても
ハッピーエンド
もしそうだったら
イキ詰まる現代社会で
俯くしかない人間たちの
心に切り刻まれる
素晴らしい人生ですよね
そうかと思えば
将来に対する唯
ぼんやりとした不安を
理由に自殺する人も
少なくはないんだって
旧い作家の戯れ言だ
冗談だって笑えたなら
ぼくだって現実を
直視できるかな
心にかかるもやもやを
払えなくて
うんざりしている様で
その実
ほっともしてるんだ
いつしか
地面に四つ足をつけ
這いつくばって
必死に
生きもがくフリまで始め
こんな
可哀想なあたしも
頑張って生きているんだ
だから
あなたも頑張って
前を向いて生きようよ
意気揚々と嘯く私は
未だに
日の目を見ないけど
上も前も
向けないけれど
終わりよければ
全てよしとするなら
今すぐにでも
人生を終わらせるから
俺をハッピーにしてくれよ
うんざりする過程を
スキップさせて
待ちわびたエンドロール
はやく流してくれないか
誰かが唾を吐いた路地
擦り傷だらけのこの四肢で
これ以上
後退りもしたくないから
一瞥もくれない運命は
前だけを向いて
前にだけ進めない
ぼくらを置き去りにする
それでもまだ縋るのか
死にたいと
助けを乞うのか
生きたいと
前を向けずに
それでもまだ望むのか
ぼんやりとした不安を胸に
己の墓に添える一輪の
ハッピーエンドを
醜い顔
今は見せる勇気も無いが
生き永らえて
じっと待つ
望むいつかを狙おうと
たとえ小さくとも
前へ
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鏡から見えない
もう一面のわたくしを
あなた方に見せたいな
試行錯誤してみた結果
こんなの違うと
斬り捨てられて
ごめんなさいと始末した
多面的でなくていい
あなたを望む
あなた以外の人々は
他のあなたに興味はないの
だから
新しい挑戦はこれっきり
他はばっさり処分して
進まないあなたを
提供していって下さいね
思いつきを
閃きと言い放ったり
長年
大切に温めていた自己を
世に出す前に
破棄してしまえ
ねえ
わかっているの?
これは
あなたのためなんだよ
ねえ
ねえっ
ねえってばっ
世間の声を無視して
脱皮するわたしは
出る杭のごとく叩かれる
それでも
(たたん)と
アウトプット
鏡に背を向けて
まだ見ぬ
私と顔を合わせ
あなたに向けて
また言うの
「はじめまして」
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若いチチでも
しゃぶりに行こか
アカン
金ない
しゃぶられへんわ
しょうがないから
シャブでも打とか
アカン
金ない
シャブ打たれへん
おかげで
わしはケンコ〜タイ
だから
お腹もよう空きまんねん
やのに
うちの冷ちゃんは
いつも空っぽ
冷たいヤツや
しょうがないから
酒でも飲もか
前に買ったの
あったやろ
なけなしの金
はたいて買った
カップ酒
アカン
一滴も残ってへんわ
おしゃぶりしても
味ないわ
しょうがないから
蛇口でもしゃぶろか
アカン
水道止められてたわ
もうこうなったら
笑うしかないわ
外より暗い
うちの家
笑ても笑ても
わしひとり
寂しくなって
しにたくなるわ
指でも
しゃぶって
辛抱するか
あれから
三年経ちまして
わしも
立派なイエナシや
汗水たらして
缶集め
小銭じゃらじゃら
小金持ち
夜は仲間と
一緒にワイワイ
カップ酒
片手に持って
お月見や
なんや
酔ったら
ムラムラしてきた
若いチチでも
しゃぶりに行こか
アカン
諭吉が見当たらへんわ
しょうがないから
安男のおっぱい
揉んで我慢しといたる
酒をちびちび
アテにはチクビ
安男のチクビを
おしゃぶりしたら
アカン
おぇえええええ
って
吐いてもた
それ見て
みんな笑いよる
つられて
わしも安男も笑た
カップ酒に浮かぶ
お月さんも
なんや
ゆらゆら笑てはるわ
今日も一日
ありがとさ〜ん
明日も
宜しく頼んますわ
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コップ一杯の
愚痴をこぼしたら
不愉快そうに顔を歪める
あなたもいれば
「大丈夫?」って
声を掛けてくれる
あなたもいて
けれど
誰も代わりに
拭き取ってくれはしない
涙も愚痴も鼻水も
ごちゃまぜになった私を
抱きしめてくれる人は
サイコパス
気が狂ったように
偏った愛を妄信する
彼に恐怖を覚えるも
ひとりは寂しいの
ひとりは寂しいの
あと何度唱えれば
あなたは
助けに来てくれる?
バケツ一杯の愚痴を
頭から被ってみせても
笑えないパフォーマンス
道行く人は一目見て
我関せずを貫き過ぎ去る
へっ
くしゅん
わたしは
わたしはとても
空虚だよ