詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
忘れることが一時か
思い出すのが一時か
人と自然と痛みと共に
生きていくこと
苦しむことが一時か
楽しむことが一時か
ある日突然の出来事が
今この時に訪れる今日
いつまで続くのか
それすら知れない人々の
自然の営みのまにまに
感じる痛み
胸に刻み
最早
白紙でない歴史
人と自然と痛みと共に
一時
一時を生きていくこと
破壊と再生
忘れることが一時か
思い出すのが一時か
苦しむことが一時か
楽しむことが一時か
やがて流れゆく
このひとときは
傷跡
軌跡となって
在るがまま
走らせる筆のように
色濃く
心に留まれば
この先も歩き続けるだろう
空一面を満たすまでは
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
中毒にもなる
人との繋がりは
毎日のように
距離を置きたくもなる
両手に余る
人々との関係は
上下左右
縦横無尽に拡がって
八方塞がり
雁字搦めの蜘蛛の餌
その癖
円網の糸を切る手のように
突然の抗えぬ力に弱く
あらゆるルールが乗っ取った
この人間社会に裁かれて
脆くも崩れ去る人間関係よ
縋りついても
濡れ手で粟
切り離されれば塵芥
馬鹿野郎
死んでしまえ
全部お前らが悪いんだ
糞が
最低だ
最悪だ
汚いな
どうしてこんなことに
なんであんなこと
もう嫌だ
消したい
消えてなくなりたい
拭えない感情だけが残って
みじめ
とても寂しい
独りになって
はじめて気付く
自分探しの終着点はここだ
私の半身は
うまれる前から
この地球に浸かっている
この世界こそが私の半身だったのだと
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
禍福を肥やして
生い茂る煩悩
欲を刈って
坊主になろう
そうして
念仏でもひとつ
唱えてみれば
ホーホケキョ
心から
あなたを好きになれるかも
余計なものが
本当に大事なものを
遠ざける
でも
それって
それほど大切じゃなかった
ってことにはならないか
振り向かずに
あなたは立ち去って
ぽかんと開いた口からは
ぐうの音ひとつも
出なくなり
坊主まる儲けとは
中々いかないもので
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
たとえば
あなたがいなくても
三回まわって
「ワン!」って言える
明日
地球が自転しなくても
世界は回り続けるように
なんて嘘さ
たとえ話は的を射ない
あくまでも
たとえは
たとえでしかなくて
三回まわって
「ワン!」となく
わたしの頬を伝うもの
明日になれば
腫れ上がる瞼
地球最後の日だっていうのに
誰とも会えない顔が
そこにあるから
鏡を叩き割っても
あなたがいない現実は
覆せなかった
あなたがいなくても
地球は回るし
わたしも生きていけるって
それってなんだか
とっても
ねえ
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
発信すると
誰かが受信すると
思っているふしがある
ふしだらな関係を望む
ふしがありふしぶしと
ふかしぎなぶしだとか
続けていくことに
意味などあるはずがなくて
大切なそのものを
見落としてしまっている
どこに落としたの
交番に届いていますか
遺失物は反応なしのつぶて
どこにも届いていないのなら
大切なそのものを
大切に保管すら出来ておらず
はじめからなかったのでは
疑われる始末
誰に
何を受信したのか
本末転倒であるが
本当に転んだわけでもなくて
擦り傷ひとつないから
人の痛みなど到底わからない
わからないですべてを
片付けて
でも片付けは一向に
うまくならなくて
そもそも中々やらなくて
お母さん先生奥さんに
怒られるまで重い腰を
あげなくて
中々片付けられなくて
その辺
発信
本文に
如実に表れているでしょう
ハローハロー
応答しない返答はない
これが答じゃないなら
どこにも解答など存在しない
存在しないそのものこそ
大切なもの
どこにもない失ってしまったもの
いつの間に失ってしまったのかも
わからないで片付けてしまっていいものか
と思いきや
まだ何も片付いていないから
転がっているでしょう
その辺に
発信すると
誰かが受信すると思っている
ふしがある
ふしがある
ぶしがいる
ふしあわせなぶしが
ふしだらなかつおぶしの
ふしぶしをふしふしふし
誰かって誰に
お母さん弟赤の他人
先輩まだ続けますか?
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
どんなにアピールしたって
きみの瞳に映らないぼくは
見逃してほしい時に限って
消えてしまえない
即座につかまって
ひどいことをされた気になる
それは愛情表現で
それは自分勝手な愚行で
それはそれは大層な気のせい
どんなにアピールしたって
きみの隣に座れないぼくは
うらめしや
居場所があるのにさまよっている
素足の汚れた幽霊です
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
きみとふたりで
喜びは二倍に
悲しみは半分に
だれかのうたであったけど
そんなの奇跡
ひとの痛みは簡単に
分け合ったりは出来なくて
ひとの幸せなんて
素直に喜んだり出来ないし
卑屈な自分を嫌いになって
涙を流して
ストレス解消
自分でどうにかするしかなくて
明日を報せるアラームを止めるため
差し出される手は己の手
隣で眠るきみは
起き出す頃にはもういない
泣いていたのは昨日のきみで
笑い合うのは次のおやすみ
奇跡がひとつも起きない奇跡
他愛のない望み少ない日常から
その先にある死が来るまで
すれ違っては生きていく
それでも時々
手をつなぎ
きみとふたりで
どこかへ行けたら
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
本当の気持ちは
吹き出しには呟けない
心は誰とも
繋がってはいない
アカウントを消して
人生を終わらせたい
それだって
気を引く嘘
冗談を言い合うように
メンタルを曝け出しては
次に会った時には
何もなかったかのように
冗談を言い
本当の気持ちは
「 」
最初から
本当の気持ちも
伝えたいことも
存在したい理由も
特にはなかった
心臓から
全身へと送られてくる
メッセージは
それでも
「 生きろ! 」と言うけれど
心には届かない
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
遊び相手がほしかった
恋愛ごっこがしたかった
単純明快な理由が
複雑怪奇なきみを造り出す
昔話と違って容姿端麗
美しい見た目のきみは
中身も素晴らしく
すべてにおいて万能で
世の理想を体現した
完璧な人間だった
ただひとつの欠点は
あなたが人間であること
そこに佇むだけで
絵になるきみの
隣でいることが
堪えがたい苦痛になるまで
そう大して月日はかからず
儚く輝く三日月のような微笑
見る度に
日に日に老いる自らを
疎ましくなり掻き毟る感情
「お前の面など見たくない」
心配するそれを
冷たく突き放すけれど
何よりも輝きを放つ存在の前では
満ちることなく欠けていく
何もかも忘れて朽ちていき
動かなくなったあなたを抱えて
それでもなお
儚く微笑んで
幾星霜の月日が経っても
鮮やかに美しい
その姿は
額縁に飾れば
永遠延々と見飽きることはないだろう
遊び相手がほしかった
恋愛ごっこがしたかった
望みは叶ったわけだが
あなたが居なくなった世界で
愛を知らずに
愛を貫くひとの姿まで
知る由もなく
また語られることもなく
続いていく
いつまでも
いつまでも