詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
新しいのは必要ない
別に直さなくてもいい
どうせまた
すぐに
壊れてしまうから
だから
このままでいい
壊れたままでも
まだ使える
失敗して
後悔して
反省しないで
また失敗
同じ過ちを繰り返し
積み重ねてきた失敗を
見向きもせずに
また失敗
反省しないで
諦めて
壊れたままでいいや
なんて
言っちゃうのか
その口は
新しいのは必要ない
別に直さなくてもいい
壊れたままの方がいい
そう思うなら
振り返れ
本気でそう思うのなら
今すぐ
振り返ってみせろ
山積みにした失敗を
今すぐ
直視してみろよ
出来ないんなら
壊れたままの方がいい
だとか
口にするなよな
よくないけれど
どうしようもない
壊れたままでいい
なんて
そんなことはない
けれど
どうしようもない
諦めるしかない時もある
なんて
そんなことはない
なんて
言えない
壊れてからじゃ遅い
なんて
今さら遅いよ
そんなことを言われても
私は私は壊れたままで
後ろは見ずに前を見てる
壊れても
壊れても
どこまでも
どこまでも前だけを
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最愛の人が死んだ
ただそれだけなのに
悲しくなるのは
なぜだろうと
疑問に思う
ぼくは少数派
涙も出ない
血も涙もない人間だと
非難され
哀しげな視線で
送られるのは
なぜだろう
永遠の別れ
もう会えない
そんなことはない
死んでも
きみはそこにいたし
今だって骨
きみはここにいるし
目や頭や耳や
乳房やお尻
心臓を失っても
最愛は消えない
果てない
なくならない
時が流れて
どれだけきみを
失っても
どれだけきみを
失い続けても
最愛は消えない
涙は流れない
だって
きみはここにいる
ぼくと一緒に
いつまでも
いるんだ
そうだろう?
だから
涙は流さない
想い
寄り添い
いつまでも
いつまでも
きみと
いるんだ
涙なんか
いらないよ
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修復したって
戻れやしない
ゲームじゃないんだ
薬を飲んでも
回復したって
元通りにはならない
似てはいるけど
全然違う
言っても
わからないかもしれないが
違うんだ
そうしたいなら
好きなだけ
黙るといい
ありったけ
叫ぶといい
この傷みと
どう向き合うか
考え出したら
もう
元には戻れない
決断したら
戻れやしない
あの頃のようには
もう
それじゃあ ね
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欲しかったのは
安寧でも
ぬるま湯でもなかった
夢は熱いうちに打て
ヒットしなくて
どんどん冷めてって
夢から覚めてって
ぬるま湯ですら
なくなって
夢冷めして
凍える心臓が
痛い痛いとすすり泣く
隣人にも聞こえない
程度の声で
延々と
でも消えない
残る
いままでやってきた事や
いままでやらなかった事が
全部
ぼくに残ってる
引き出しに閉まってある
絶対に
開けないが
鍵を忘れて
大事なことを忘れた
大事なことなんて
最初からなかったことを
忘れた
忘れよう
浸かろう
肩まで首まで
頭まで
冷えきったぬるま湯に
浸かろう
朝まで死ぬまで
来世まで
信じてないけど
次があるなら
また失敗
今しかないぞ
その今も
過去になった今現在の
ぼくはどうしようもなく
お尻の穴から火を吹いた
取り返しのつかない事態に
今だけ笑おう
まだ少しだけ浸かろう
これはまだ夢の続きだ
そうに違いない
だから
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きみはまた悪口をいう
本人から
少し離れた場所で
ぼくはまた悪口を返す
本人から
少し離れた場所で
もういいかい
もういいかな
悪い口を切り落とせ
俺がやったんじゃない
この手が
なら切り落とせ
汚いのは俺じゃない
足だ
なら切り落とせ
悪いのは俺じゃない
頭だ
切り落とせ
ひとのことを
わるくいうから
ひとのことを
わるくいうから
そうなるんだよ
わかった?
うるさい口を
切り落とせ
聞きたくない
何も聞きたくない
耳を切り落とせ
目を潰せ
心臓を潰せ
頭を潰せ
潰せ潰せ潰せ
この苦しみは
切り落とせないか
不安もストレスも
怒りも恐怖も倦怠も
不安も責任も罪悪も
未来も過去も現在も
前途多難も憂鬱も不安も
不安も不安も不安も
何もかんも
握り潰せず
拳を震わす
もういいや
もういいよな
悪いのはお前だ
切り落とせ
ぎゃああああああ
ああああああああ
ああああああああ
ああああああああ
ああああああああ
ああああああああ!!
切り落とせ
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やけに冷え込む
商店街を抜けたら
舗装された森に迷って
まばらに生えた電灯の上
閑古鳥とコウモリの
ざわめき不協和音
白くて粘っこくて臭い
災厄が
落ちてこないかと
そわそわしながら
家路を探す
切り傷
擦り傷
大火傷
刺し違えたあと
倒れたきみに
塗り込んだ穢れ
なのに
一笑に付されたような
ひどいあまのじゃく
純粋で怪我をしてばかり
広がる戦火
考えなしに飛び込んでは
泣きじゃくるその姿
凛々しくて
眩しくて
雄々しくて
女々しいぼくには
とても
見れたものではないな
手を繋いで
隣を歩く
ことはないだろう
明かりを点けても昏い
リビングに戻り
押し寄せる感情を
シャワーで流して
あとは眠る
ように死ね
でも傷が浅いから
二時間程度で
目が覚めて
トイレに逝って
おしまいまいまい
目を奪われて
操られ
深夜徘徊しているところ
きみに出遭って
喰われておしまい
災厄は
他ならぬ
ぼくでした
それとも
誰ですか?
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よく利く
アイツを失って
残り半分で
過ごすこれから
慣れるしかなく
上手に動かせるまで
あとどれ位かかるのか
言うことを聞かない
コイツと二人三脚で
歩まなければ
いけない未来なんて
イラナイ
そして
使いこなすのを諦めた
衰えていく
半分になった
全てのワタシは
誰からの応援も虚しく
等しく
効かなくなっていき
放つ香りは
さらさらと
ミンナを虜にするけれど
気分が落ちて
怠くなる
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違うって
そうじゃなくて
目玉が
飛び出してるから
気持ち悪いんじゃなくて
大脳が
丸見えだから
気持ち悪いんじゃなくて
笑った口が
耳元まで裂けてるから
気持ち悪いんじゃなくて
鼻と首が
明後日の方を向いてるから
気持ち悪いんでもなくて
肺臓が張り裂けて
「苦しいよ」
息ができないから
きみを見てると
気持ちが悪くて
困るんだ
手や足が
腕や脚が
千切れ血ゃって
あ血こ血に
血らばってて
あっ血もこっ血も
血だらけで
内臓っていうの?
お腹から
腸が飛び出してて
下の毛も全開で
なんかもう
ぷらんぷらんしてて
放置してたら
腐乱してきて
でもね
あなたは
それでも人間で
ゲンケイなんて
カンケイなくて
死ぬまで
でも
死んでも
でも
なくて
死んだら
きみを愛してる
キモいって言わないで
言うなら
「気持ち悪い」
って
略さず
ちゃんと
言ってよ
ね?
シンパイ停止
返事がない
━━━━━━━━
水平線の向こう側
破裂して
飛び散った
こころが痛い
わたしはぼくがすき
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ああでもない
こうでもない
いいでもない
ううでもない
ええでもない
おおでもない
どれでもない
かといったら
そうでもない
でも
そうじゃない
わたしがいいたいのは
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きみの言葉
きみの行き先
きみの足跡
きみの見たもの
聞いたもの
残してきたもの
全部ぜんぶ
消されていた
あーあ
きみは今
どこで何をしているのか
調べに行こう
そうしよう
今度は
ぼくが保存するまで
勝手に消去しないで
ね?