詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
呼吸をするように
呼吸して
できるだけ意識して
呼吸をするようにして
だからといって
「俺はいま生きている!」
なんて
実感は湧かなくて
ただ
今も僕は生きている
人生お先真っ暗で
明かりをつけても
「お帰り」と
声をかけてくれそうな
人はいない
とりあえず
生きるだけ生きて
できるだけ意識せずに
生きていくようにして
時々
これ見よがしに
所在なさげに俯いて
誰か心配して
声をかけてくれないか
試してみようか
やめておこう
とりあえず
呼吸だけしておいて
いつからか
「ただいま」と言える
家にも帰らなくなって
増えるのは
体重と文字数ばかり
そろそろ
やめにしようか
書くのを?
それとも
生きるのを?
どっちでもいいだろう
と
そっぽを向いて
あなたが
声をかけてくれないか
見て見ぬフリをして
僕はいま生きている
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世界平和を願う者たちの
声を聞き
どこかの誰かが
人間に
新たに与えたチカラ
それは
あの人が居なくなれば
もう少し良くなるのに
そう思った
次の日に
その相手が消える能力
70億近く居た人間は
1ヶ月とかからず
70万人に
残った私たちで
新しい国を作ろう
消えずに残った
私たちの力を合わせば
きっと
世界は平和になるよ
70万人居た人間は
1週間とかからず
70人に
残った私たちで
新しい街を作ろう
消えずに残った
私たちの力を合わせば
今度こそ
世界は平和になるよ
70人の人間は
3日とかからず
たった2人に
私と君で
新しい世界を作ろう
男と女
アダムとイブね
消えずに残った
私たちの力を合わせて
争いのない
平和な世界を作ろう
ささいなことで
ケンカして
次の日
どちらか
1人が消えて
独りになったのは
アダムかイブか
残った1人も
次の日には消えて
70億近く居た人間は
1人残らず
地球から消えて
世界平和を願った者たちは
どこかの誰かに
お礼を言って
平和な世界で幸せに
暮らしたそうな
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お湯を入れて
3分も
待てない人が聴く音楽は
違いのわかる人にしか
聞き取れないミュージック
私には蚊の鳴く音すら
捕まえられなかったけど
シースルーのあなたには
人を刺さなくなる程に
効き目があるから面白い
宇宙にある成分で
もっとも大切なのは気分
そう言われても笑えない
おかしな
あなたを見ていると
うちたくなるの
終止符を
人前で裸になれても
皮を剥いで
内側を見せることが
可能だとしても
あなたのように丸裸
私自身は見せられない
上から目線なのは
見下されるのが
怖いから
へりくだるのは
さらけだすのが
こわいから
あなたを
馬鹿にするけれど
あなたを
馬鹿にするけれど
私はもっと
アハハハハ
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以来
音沙汰なかった人の
訃報が届く
私が伸びると
人が消え 物を失い
私が枯れると
人や物が更新されていく
私が消えると
みんなは何か失うのか
聞こえない声
見えない彼方へ
いってしまった人に
届かない手
元から連絡なんて
取っていなかったのにね
伝えられないことを知り
流れつたうものもなく
破片を拾い集めるように
思い煩い
歳月を重ね
花も咲かせず枯れていく
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やり終えたあと
扉を開けずに
居続けられるのか
明日には思い出さない
明後日には思い出せない
一度でも離れれば
それで終わり
何年後かに再会しても
知らない誰かのような
微塵も感じぬ懐かしさ
新しいお前はどうだ?
こうやって今
向き合っているお前とも
すれ違っても気付かない
いつかが来るのか
それでもやるのか
終わりだよ
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飽きもなく
別れもなく
悲しみのない
充たされた日々は
記憶の中にしか
存在せず
変わりのない
理想的なあの頃を
永続的に繰り返せたら
僕は
今日も幸せですと
心から言える
好きな人たちと
好きな時間に
好きな場所で
好きなことを
好きなだけ
好きにやる生活
それにも飽きて
やがて別れがやって来て
悲しみがどっと押し寄せ
充たされずに出来た隙間
その隙間へと
僕は逃げ込んだ
ふう
ここは永遠じゃないし
昨日とも違う
「好き」のない
無駄とも呼べる
人生の余白
そこには
幸せしかないのに
幸せに感じなくて
向かった先には
どう考えても
幸せはないのに
その方が良い気がして
先程のあれは
心にもない
言葉だったんだと
前言撤回
好きなものが
ひとつもない隙間が
好きなんだとか
誰にも言えない
言いたくない
私の居場所がない
場所にある私の居場所
ふとした時に現れる
論じれば埋められるような
どうしようもない
その隙間に
僕は逃げ込んだ
ふう
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知らないうちに
赤く焼け
それが空なら
見ていたいのに
それが人なら
避けていく
知らないうちに
暗くなり
それが空なら
吸い込まれるのに
それが人なら
居た堪れない
知らないうちに
明るくなって
それが空なら
まぶしくて
それが人なら
振り回されクルクル
知らないうちに
青く褪めて
それが空なら
絵にもなるのに
それが君なら
筆舌にも
死体になったら
可愛いのに
生きているから
アヒルの唇
尖らせて
ぼくを見るから
目が痛い
舌。居合い効果
センター。ん?
今日、負傷
なんでもないよ
さあ、眠ろう
夢の中でなら
何をしても構わない
まぶたで覆えば
もう痛くない
そうだろう?
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半永久的に
十四才だった
あの子はもうすぐ
旅立ちます
セカイから他界へ
手を繋いで
飛び込みますか?
黙考する間もなく
セカイは発車します
目先のなんとやらに
おめめが眩んでしまって
手を伸ばすのを躊躇した
それはさておき
さておかないで
取り残された僕らと
姿の見えない君らとの差は
日に日に
開いていくような
この五十歩百歩は
suiside
セカイにとっては
偉大ななんとやら
私の頭は
今日も平和に
セカイの周りを
ぐるぐると
回っています
まわされています
ぐ〜るぐ〜る
ぐ〜る
ぐる
たかいたか〜い
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ゆりかごから墓場まで
お金をかけずに
苦しませるよ
生まれたての赤ちゃん
寝たきりのご老体
区別はしません
一緒くたにして
さようなら
行き先は告げずに
片道切符
有無を言わせず渡したら
あとは包んで
捨てるだけ
鼻をかむような作業
非常にラクだ
猶予は三日
それを過ぎたら
残念だけど
君たちに未来はないよ
次は人間に
生まれてくるといいね
この畜生共が
誰かが言った
お前は人間じゃない
残念ながら
あなたもアイツも
人間です