詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
寝返りを打った数だけ
文明は進み
わたしが眠る
あいだにも
彼らは
新しい機能に夢中で
一度でも流れに逆らうと
もう
二度と
追いつけない気がして
歴史のスミに
へたり込む
めまぐるしさに
目が回り
疲れて
手を抜き
足を放り
散乱する意識
頭を抱え
眠気を催せば
最先端が星屑になるまで
夢半ばもかからない
起きたら既に
21世紀は終わっていて
わたしが
私じゃなくなってて
みんなが
面白いっていうゲーム
クソにしか思えず
また大あくび
もう知らない
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6の段が言えず
7の段をカミまくり
それでも
ハチ公の前で
世界制服宣言
共感してくれたのは
セーラー服を着た
マッカーサー似の
おじいちゃん
おも詩ろく
詩ねないか
ただそればかりを
模索詩続毛手
自己との対話を繰り返詩
お自慰ちゃんと
嘲笑う犬共
修羅場と化した
お風呂場で
親指を片手に
ケータイを撃つ
お前、言ったよな
まだ詩ねないし
まだ寝ない
あの頃の
読み手も書き手も
誰ひとりいなくなっても
この部屋に
居座り続けるんだって
けれども立った
クララと共に
ここではないどこかへ
旅立った
地獄のURL
閻魔大王のメアド
教えておじいさん
煩悩をかみすぎて
空になったティッシュ箱
希望も未来もないのなら
うれ詩かな詩を詰め込もう
引きこもって
悲喜こもごも
朝になれば顔は咲くかな
しわくちゃの
マッカーサー似の
おじいちゃんの鼻みたいな
まだまだ書けるだろう
もっともっと面白いもの
ヤレるだろ
朝まで
でも腰を痛めてますので
お手柔らかに
リードして下さい
お願いします
以下自主規制
しばらくお待ち下さい
そのあとに
奇抜でも
無個性でも
透明で真っ黒な明るい
涙を流す赤い猫の瞳
潰れたトマトのような
夕焼けが闇に染まる頃
俺はあたら詩い作品を
書くんだ
目指せ芸人
違った
しじん
いや
まずはしじみ辺りを
目指そうか
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光の届かない四畳半で
斜めに歩く街角で
昼下がりのウミウシが
あくびをしてるその横で
変わらないのは
目の前に
あなたの言の葉が
舞っていること
明かりの消えた世界でも
溶けずに手のひらで
息衝くのは
ひとはの
あなたの
言の葉で
多忙な彼らが
群れをなして明滅する
無音からは程遠い
そらの底で
なんて返そうか迷って
結局
あなたには
何も言わずに
何も告げずに
眠りますが
たまに
気まぐれに
声をかけても
気にしないで
おやすみなさい
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ふとした拍子に
あふれた閃光から
吹きこぼれるように
うまれた命が
きみ
他には誰もいないのに
いても気にしないように
きみに話しかけるように
ここに記す
軌跡が体をあらわして
完成するまで
あともう少し
簡単じゃないよな
困難でもないよな
定めでも偶然でも
いや
陳腐な話はなしにしよう
冥々明々
メイメイ
命とともに
脈打つその名に
描くの
そろそろ終わりにしよう
ちろちろ落ちる光の音が
聞こえなくなって
ぼくは手を止めた
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いくらか歳を重ねた
僕らの胸に
響いてくるものがある
生きててよかった
とまでは
思えなくても
いま
この時
この瞬間に
出会えてよかったと
思えるものが
あの時
何も感じずに
世界の隅へと流され
消えたものが
いま
再び目の前に現れて
僕らの胸に突き刺さる
えぐるように
つつむように
中心から響いて止まない
生きててよかった
とまでは
思えなくても
きみに会えてよかった
ありがとう
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傾けなければ
聞こえなかった
受動的な銃声に
鼓膜を破られ
意気消沈
目線を合わせず本体は
それ見たことかと
抜け出てく
爽やかな横顔で
軽やかなステップを踏み
足早に左折
僕はもぬけの殻になる
ささくれ立った親指を
無差別な眉間に向け
逆剥けを引いた
息を殺して
朗らかに光る
あとは待つだけ
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あなたの心に
ルビを振り
わかったような口を
地球に声を当てて
「苦しいよ」って泣いた
その時
23.4度 首を傾げたのは
あなたも地球も
わたしになぞらえて
考え得たものは
本物や真実でしょうか
自身の心を
一言一句たがわず
漏らさず掬いあげたと
したり顔
きみの背に(仮)を
疑いに手を伸ばせば
理解からは
遠くなる一方だと
懲りずにまた
ルビを振り
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緊急告知
ぼくらの絶望が
解散しました
まさかの欲が底を尽き
穢れは薄れて消え去って
偽善者から嘘が果てる
これまでの悪意が
邪な気持ちが
真っ青な本当に変わり
人類が正しい道を
歩みはじめる
平等に平均に平凡に
平穏に平坦に平日に
平成に平和に閉口し
迷わず悩まず
勘に頼らず躊躇わず
自分で決める
確信を持って
開いて閉じて
奥の奥にしまって
忘れてしまったアノ箱を
取り出したら飛び出して
飛び立っていった希望が
未来が
ひと回りも
ふた回りも大きくなって
いま目の前に現れた
それでは
わたしはこの辺で
悲しみは沈み
苦しみは乾き
癒えた傷
カサブタをはがせば
ほら
新鮮なあなたが
毒々毒々
ぱっくりと笑っているよ
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久しぶりに
きみのことを
読みたくなった
イルカに乗った
兎のような
かなしい安心がほしい
今なら何を
書きますか?
ぼくはこのとおり
あの頃からあまり
どこにも
進んでいませんが
読みたいなあ
読んでほしいなあ
糸電話の受話器を
話さずに離さず
持っているだけで
繋がっている気がした夜
あの日
きみはどこを
歩いていたのか
まぶたを閉じても
見えない場所へ
いってしまって
もう
だんだん
少なくなっていく
好きな人たちは
バカを殺ったアイツは
どこかへ
けれども
ぼくはここにいる
よかったらまた
一緒に書きませんか?
久しぶりに
きみのことを
読みたくなった夜
あの日と変わらず
ここにいて
あの日のように
書いている
メリークリスマス
痛い時にはEVE