狂い騒ぐこともなくしずかに春は散っていく奥ゆかしさを喪失っててのひらに触れる曇り空たなびく風のきまぐれに惑わされては通す袖寄せては返し戯れるきみを邪険にあつかってふくれる頬をつぶしもしないこんな風にしか時を奪えないならいっそゆびもめも根こそぎとりのぞいてしまえよ降り注がれるあいに傘をささずに受け堪えそれすらできなくなった今細く干からびてゆく人に肩も貸さずいったいどこに向かうというの
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