詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
お前を復活させる呪文
思い出を頼りに
唱えてみたけど
喚びに逝った言霊は
反響となって
首を横に振る
何度唱えても
結果は同じで
お前を収穫できずに
冬を迎え
世間は忙しなく
浮かれている
足どりを合わせるように
僕は
未踏の明日へ
少し立ち止まり
振り返ると
そこにいたのは
お前じゃない
過ぎ去りし日々
記憶の波を
掻き分けて進んでも
残念なエンカウント
遭遇するのは別の何か
お前を復活させる呪文
思い出を頼りに
唱えてみるけど
出現しない
尻尾も掴めない
そもそも
アイツに尻尾なんか
あったっけ?
神がいるなら
お手のものだよ
現実の改竄
楽しかったのは
フィクションで
はじめから
宇宙は
産まれていなかった
と
しても
心は信じて疑わない
復活しないのは
呪文を
間違えて覚えたからだと
いつの日にか
遠くて近い将来に
お前はひょっこり
颯爽と
呼んでもいないのに
目の前に現れ
皆を煙に巻くのだろう
痛いなって笑ってよ
って
言ったら
別の何かに笑われた
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