ホーム > 詩人の部屋 > 高級スプーン似の部屋 > ホビーショック

高級スプーン似の部屋


[226] ホビーショック
詩人:高級スプーン似 [投票][得票][編集]

四畳半を走る青い線路
電車も四駆も僕のもの
変幻自在のブロック城

変形ロボが空を舞う
小さな兵士と怪獣と
白い戦士が三つ巴

僕の右手と左手が
四畳半の世界を回す

最新のコンピュータ
ボタンひとつで
敵をぺっしゃんこ

何度も死んで
何度もリセット
復活の呪文はとても長い

四畳半の世界では
僕はいつでも主人公
主役でヒーローだった
母親に片付けなさいと
怒られるまでは

あれからもう何年
四駆もロボも
お城も兵士も怪獣も
今の僕には何もない

最新のコンピュータで
検索しても
ヒットするのは
誰かの思い出

記憶の片隅で眠る
四畳半の世界
今の僕には回せない

おこづかいを持って
ワクワクしながら
よく行っていた
二軒のホビーショップ
久々に
お店の前を通ったら
二軒とも
跡形もなく消えていた

これが現実
いつかは失う
何もかも

それでも

新しく
積み上げるのは
これからも
僕の右手と左手で

くるりくるりと
世界を回す

2010/05/19 (Wed)

前頁] [高級スプーン似の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -