詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
やけに冷え込む
商店街を抜けたら
舗装された森に迷って
まばらに生えた電灯の上
閑古鳥とコウモリの
ざわめき不協和音
白くて粘っこくて臭い
災厄が
落ちてこないかと
そわそわしながら
家路を探す
切り傷
擦り傷
大火傷
刺し違えたあと
倒れたきみに
塗り込んだ穢れ
なのに
一笑に付されたような
ひどいあまのじゃく
純粋で怪我をしてばかり
広がる戦火
考えなしに飛び込んでは
泣きじゃくるその姿
凛々しくて
眩しくて
雄々しくて
女々しいぼくには
とても
見れたものではないな
手を繋いで
隣を歩く
ことはないだろう
明かりを点けても昏い
リビングに戻り
押し寄せる感情を
シャワーで流して
あとは眠る
ように死ね
でも傷が浅いから
二時間程度で
目が覚めて
トイレに逝って
おしまいまいまい
目を奪われて
操られ
深夜徘徊しているところ
きみに出遭って
喰われておしまい
災厄は
他ならぬ
ぼくでした
それとも
誰ですか?
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