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高級スプーン似の部屋


[321] HE SEA
詩人:高級スプーン似 [投票][編集]

終わってしまった熱の街
川のせせらぎは
嘘のように
喉の渇きを潤さず
両手ですくったそれは
冷たいだけの
砂だった

変わらず月は綺麗で
凍えた体から
今にも飛び出しそうな

ドロドロと
街を覆い
丸ごと
のみ込んでしまえば
何も考えなくて
済むのかもしれない


新たな始まりを告げる陽
やはり暑い
汗が本体だったなら
俺はもう
ここにはいない
ここにいるのは
人の形をした砂で

現実は違う
あれほど
強かったことには
理由がなかったけれど
これほど
弱くなってしまったのは
アイツが原因だ
あれもこれも
すべてに絡んでくるから
だから
人前では泣けないんだ

赤く燃え
風に舞い
脈動する砂の海
クジラもイルカもいない
溺れる人間が一匹
釣り上げられるのを
待たずに
そんな幻想は地の底だ
希望を抱いて
もがくあがく
このままでは
終わらせないぞ と

2011/04/22 (Fri)

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