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高級スプーン似の部屋


[325] 深淵のぞき
詩人:高級スプーン似 [投票][編集]

針のない時計は
さらに正しく
確かな時を刻み
にんげんの
根幹を揺るがして
正気を保てなくする

ぼくらがこれからも
まともでいられたなら
うまくいっていたのかも

きみの内側
自分自身でも
よくわからない理由で
波打つ感情
二人の行き先を
左右するクセに
未来を暗示
してはくれない

楽しかったことも
嬉しかったことも
辛さ苦しさに
のまれてやられ
安らかに眠ろうとする

ききたくないよ
もう
迫ってくるような
針のない時計のおと
だから

必要なのは
処方箋でも
暖かい家庭でも
大切なひとでもなくて
ただ
落ち着いてしにたい

陽気な歌を聴けば
テンションだって
高くなる
それは
ぼくらによく似た
空気のにんぎょう
だったけど

何を考えているのか
わかりたい
ワケじゃなくて
知りたくもない
こころを
打ち消したいんだ
それだけです

2011/05/07 (Sat)

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