詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
人間成績表を渡された
アヒルと煙突の大行進
協調性に欠けていて
人と話すのが苦手
これでも
合わせているつもり
けれども
どこかズレていて
噛み合わない
空気読めない
自分でも意味不明
コミュニティの外
たった一人で反省会
そんな気持ちを
詩にしてみたら
共感の声多数
温もりはいつも
醒めてからやってくる
何食わぬ顔で
全く別方向から
手遅れなのに
そう来たか
笑えない
笑うしかない
どうしようもない
どうにもならない
先生とクラスメイトの前で
消極的なライブ活動
続ける意味も
分からず続け
「ここにいるよ」
それさえ言えず
教室から沈んでいく
圧迫されて息苦しい
死ぬんじゃないか
そんな風にも
不思議という無知
底でも生きていけると
体験して初めて理解
適した形に進化
徐々に慣れる
見上げて気付く
奴らの正体
丸見えだ
人間じゃなかったんだ
人間もどきだったんだ
人外の先生
人外のクラスメイト
心を隠して
笑い合い
互いの腹を探り合う
個性はある
本当は一匹一匹
他に類を見ないほど
人の殻を破って
自分を曝け出せば
生きていく難易度が
格段に上がる社会だから
「貴方が人間なら逃げろ」
深海からメッセージ
泡で包み
地上へ飛ばす
チャイムが鳴る前に
人の皮を被って
さあ僕も
人間の気持ちなど
人間もどきには
判らないのに
人間を辞めてから
なぜか成績が上がった
会話のキャッチボールも
普通に出来るようになった
おかしな主張は
地上で弾けて
伝える相手を探して
温もりを奪われ
跡形なく消えた
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