詩人:高級スプーン似 | [投票][得票][編集] |
産声を上げると
言の葉ひとつ
泣き顔に落ちた
日が経つにつれ
ぽつりぽつりと
降り始め
物心ついて
いくつ過ぎた頃だろう
ざあざあと砂嵐
聞こえるようになったのは
視界を覆うほどの
どしゃ降り
わたしは成長するにつれ
沢山の言葉に塞がれて
誰の姿も
見えなくなってしまった
みんなはどこにいる
わたしはどこにいる
どんどん侵されていく
冠水する心
波に飲まれ
溺れ
強く激しく降り注ぎ
勢いを増していく
言の葉の濁流の中
何一つ自由にならない
意識さえも朦朧として
望みは絶えたと
すべてを受け入れた時
救ってくれたのは
他ならぬ
わたし自身だった
頭を使って
心の底から
掬い上げる言の葉
この世に
生を受けた
その日から
この身に浴びてきた
言葉たち
いつしか
わたしの半身となり
わたしの内心を
充たしていったんだ
やがて
心身に
収まりきらなくなり
はち切れそうになる
言葉に
頭を抱えて
心を抑えて
けれども
目を背けて
どうにもならず
ひとり苦しんでいた
結果
決壊
込み上げてきた
言の葉は
当たり前に溢れ出す
わたしの気持ちも
汲み取って
自身を紡ぎ
飛び出していった
わたしの中から
わたしの外へ
うまれる太陽
あなたの元へ
おもいよ届けと
産声を
kikaku2012太陽
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