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高級スプーン似の部屋


[442] 儚き趣
詩人:高級スプーン似 [投票][編集]

横浜から
隣駅の神戸まで
走る列車は轢き殺す
針の山の頂上付近
飛び込み台から次々と
ジャンプする人々
四散した命を踏みつけて
ぼくは友達と
母親と見知らぬ中年と
旅をする
はやく
トイレに行きたい
破裂しそうな膀胱抱え
死体を越えて三千里
目的地も
目指す理由も最初から
記憶にないのだった

抑圧された願望が
爆発して
生まれた
ワンダーワールド
馬鹿を殺して
ママとセックス
父親に階段から
突き落とされるまで
膨張する我が息子
黒い穴に
望みまでもが奪われて

誰にも理解できないと
嘆くあなたを分析し
判断するのは簡単だ
けれども
結果を心から
認識するのは
もののあはれ
人の夢だと一笑に付す

どうりで
充たされないわけだ

2012/09/11 (Tue)

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