詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
あなたは
みんなに笑いかけます
わたしは
みんなに入っていません
右肩から指先へ
指先から左肩へ
胸を前にして作られた
小さな輪の中にみんな
ふと
空を仰げば
外側からでもわかります
俯瞰する顔
太陽や神様気取りの
嫌な笑み
小さな小さな世界に入れず
私はほっとしながら
けれども
拠り所なく
安らかに眠れずにいます
太陽の見えない場所に
行けば凍えます
神様の見えない場所に
行けばもう
何を信じればいいのか
だから
離れられずにいます
けれど
歩み寄れずにいます
近付き過ぎると
囚われてしまいそうで
怖いのです
そして
輪の中から逃げ出した
わたしは二度と
戻れはしないのでしょう
己を最後尾に置いて
みんなの気持ち
考える努力をしない限り
風向きは悪化するばかり
逃げることからすら逃げ
ひとりでは息もできません
弱りきった息子の頭を
傷つけないよう
やさしく撫でてまた
現実を疎かにするのです
あなたの目が
ぎょろり
こちらに向くこと
内心びくびくしながらね
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