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高級スプーン似の部屋


[467] 蜃気楼の森
詩人:高級スプーン似 [投票][得票][編集]

日が沈み
冷たい砂を踏む
水気のない
絶海のど真ん中

陽が昇り
地獄を見ながら
彼方で揺れる偽りの緑

目を凝らせば
笑う人々
手を伸ばしても
届かない距離

とんだ悲喜劇
それが現実

いつか
苦痛ばかりの
この日々が
蜃気楼になればいい

戦争も災害も
飢餓や難病も
ちっぽけな悩みも全部
忘却の彼方
フィクションでしたって

そよぐ風が気持ち良い
ゆらめく森の中
みんなと笑えたらいいな

それまでは
忘れない
絶対に忘れない

暗闇と灼熱が
絶え間なく押し寄せる
望まない海の上
よろめきながらも
踏ん張る日々を

仲間と手をつなぎ
前を向いて立つ今を

逃げてたまるか

2013/03/14 (Thu)

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