ホーム > 詩人の部屋 > 高級スプーン似の部屋 > くにがまえに人

高級スプーン似の部屋


[495] くにがまえに人
詩人:高級スプーン似 [投票][得票][編集]

地球と空を隔てる
仕切りがないから
囗に囲われた中身について
考えたこともなかった

やり様によっては
いつでも突破できる大気圏
住み慣れた天体を捨てて
外界へ飛び出したとして
箱舟の中を
包む静寂
乗組員たちは
借りてきた猫のよう

だから
おとなしく
左胸に籠って
本音を呟かないようにしている

内側から殴れば
衝撃が心を動かす
送り出された血液は
全身を巡り
元の場所に還ってくる

誰かの生活といっしょ

未だに
壁のない部屋の中を
ぐるぐるぐるぐる
歩き回っている

遮るものなどありはしないのに

外はまだ暗いから


怖いんだ



2014/01/10 (Fri)

前頁] [高級スプーン似の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -