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高級スプーン似の部屋


[5] まるで幽霊
詩人:高級スプーン似 [投票][得票][編集]

いま聞いても新鮮な
物静かで
力強い声が
僕を揺さぶった

内側に意識が向いて寒い
あわ立ち 弾ける
インスピレーション
それらを逃すまいと
無数の触手になって
包(クル)む感覚
反対に
熱を帯びていく

発音せずに独り言
一日の流れから離れ
ふわふわと
実体のない海を泳ぐ

半世紀よりも前から
未来から吹く南風
その風を受け
返ってくるものは

力いっぱい叫んでも
誰の耳にも届かない
苦しむだけの声もある

それでも傾ける
聞こえてくるまで
待ち続け
形になるまで考える

そのまま外へ飛び出して
僕の声となり
出会う誰かを震わせる







宮沢賢治作
「生徒諸君に寄せる」を読んで

2007/06/23 (Sat)

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