夏の終わりに楽しかった日々を懐かしむような気持ち風は止み凪いだ心はとても穏やかではあるけれど静寂の中朧げな記憶に後ろ髪を引かれて何も手につかなくなる誰に別れを告げられたわけでもないのに寂しいひんやりとした木陰に閉じ込められてこのまま一生物悲しさに囚われてしまいそうなひとり打ち拉がれる午後煙がゆらぐ
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