ホーム > 詩人の部屋 > 高級スプーン似の部屋 > 馬鹿

高級スプーン似の部屋


[506] 馬鹿
詩人:高級スプーン似 [投票][得票][編集]

いくら気に病んでも
安心できない世の中
手に余る憂鬱が
月曜日を停めた

誰が地球の裏側まで
心配しろと言った?

友だちとあの子が
楽しそうに笑ってる
こういう
ひとときの平和を
永遠に思いながら
寿命で死ねば
いいものを

人が人を殺す
一方で
人が人を生かす
一方で
人が人を犯す
一方で
僕は知らない顏をして
朝までカラオケ
愛や恋を歌う
君の声に耳を委ねる

必要の二文字が
平和を阻む
不必要の三文字が
憎しみを増やす
世界平和の四文字が
感覚を麻痺させる

実現不可能だ
されど
信じる者にのみ
幸福は訪れる

あの子の笑顔の半分は
DV彼氏が見せる
気まぐれの優しさで
あの子の笑顔の半分は
カルト宗教にハマる
母親から学んだ人の愛し方で

いやらしい手つきで
マイクを握る
彼女を見て
笑顔で悲しんで
その実
興奮している僕は
何が悲しくて
ここにいるんだ?

終了十分前のコール
席を立つ
友だちとあの子と僕の
隣の部屋は空っぽ
まるで
誰かの頭か心みたいだ

不安や罪や煩悩に苛む
月曜日よふたたび

彼女の心傷すら癒せないのに
地球の裏側のことまで気に病んで
日がな一日
憂鬱になる行為に時間を費やす誰かに
名前をつけるなら







2014/05/08 (Thu)

前頁] [高級スプーン似の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -