詩人:浮浪霊 | [投票][得票][編集] |
花をちぎり口に含み、その蜜の味を確かめ、放る。
名も知らぬ花のラッパのような花弁が、ひらりはらりと舞い堕ちて、薄汚ない舗道を飾った。
綺麗。
そこに音は無かった。
全くの、無音で・・・?
馬鹿な。
目線を上げると、日本中どこにでも有りそうな当たり前の街騒が有った。車と人間の坩堝、道路わきの花壇、申し訳程度の緑。
此処は狂気と騒音に満ちた混沌そのものじゃないか。
じゃあ、さっきの音一つない空間は?
そうか
唐突に得心する
この頭の異常しな喧騒の中でも、友の声なら聞き分けられる。
ごった返す人波からも、見つけ出せる。
人は、自分にとって大切なもの以外にはこんなにも無関心になれるのか。
・・・この、通を行く人間(カボチャ)の数だけ、実は人生が有るわけだが。私にとってはそんなもの、良くて雑音に過ぎないというわけだ。
街を嘲弄し鈍く笑う一方で、私は振り返るタイミングを練る。
あなたの足音は充満するノイズさえ越えて、私の耳に届いてるよ