詩人:浮浪霊 | [投票][編集] |
「姉様(ズィーヤン)、質問が有るんです」
「何、改まって」
「中国人の友人たちと話すとき触れるべきでない話題についてです」
「あい?」
「一般的な中国人が、触れられたら不快に思うような、触れたら失礼に当るような話題」
「別にー。何話したっていいよ?」
「『何でも』ですか?」
「何でも」
「しかし、デリケートな話題も有るのではないでしょうか?」
「有るかなあ。例えば?」
「『政治』です」
「ほう?」
「例えば、中華民国」
「『無い』」
「は」
(絶句する。余りの即答に一瞬怒られたのかと思ったが、姉様にそのような様子は無い。彼女が煙草を取り出したので、あたしはすかさずライターを取り出し火を点けると、彼女はその煙草を何故か私の口に突っ込んで言った)
「『民国』は『無い』」
――― 察せよ。
(此れは『台詞』なのだと私は理解した)
「……失礼しました。『自称中華民国国民政府』や『自称中華民国総統選挙』、『言論』の話、『東亞大戦』、『西蔵問題』『日帝の戦争犯罪』の話などを、僕(プウ)は君(ジュン)や他の華人の友人たちとしてもいいのでしょうか」
(時に彼ら彼女らから話を振ってくることもあり、対処に困ります。下手なことを言って彼らが危険な羽目に陥らないか心配ですと付け加える)
「いや、没問題(大丈夫)だよ、全然問題なし、何話したっていいんだよ。いいんだけどね……」
(ふーっ、っと煙を吐くあたしに、彼女は手をひらひらさせ、笑って告げたが、目には奇妙な自嘲が有った)
「ただ、君が何を聞いても、何が話題に上っても、『私たちに言える事、答えられる事は限られている』。分かるかな?」
「……よく分かります」
「んじゃ、ま、何でもお話し」
「一生付いていきます!」
「はあ!?」