詩人:rei | [投票][編集] |
悲しいことは
数限りなくあって
悲しいことは
数限りなくあって
その中で僕ら
優しい歌の一つ二つ
憶えてさ
生きてくんだよ
素敵だね
本当に
そんな嘘を
どうして
泣きながら
話さなきゃ
ならないの?
つまりは
臆病だったわけさ
空気に溶けるエーテル
月の輪を指でなぞる
そうでもしなきゃ
今夜は
やってられなくて
震えながら待つ明日
朝のカーテンが開くと
飛び散った涙も
雲になって
遠くまで風に
流してくれる
素敵だね
本当に
ううん
嘘じゃなくって
悪いけど今日は
欝屈した憂悶を
友達にして
歩いてく
悲しいことは
数限りなくあって
そのみんなが
妖怪ならば
優しい歌で
おまじない
ちちんぷいぷい
飛んでゆけ
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人は
愛を失くして生きていけない
けれど
それと同時に
哀を失くして生きていけない
愛の裏側には必ず
哀があって
その両方があるから
人は強く
生きていける
愛と哀
違うように見える
けれど
同じ要素で構成されてる
愛と哀
その両方を
私は抱きしめる
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ゾウの鼻が長い理由
キリンの首が長い理由
それぞれに
より良く生きる目的があって
そうなったんだね
言葉や道具や政治があっても
人は人を傷付けて
人は人を裏切って
人は人を騙してく
「美しいと信じなさい」
「美しいと認めなさい」
はら はらり
舞う六花に
丘は白銀
誰もいなくなって
私は一人
はら はらり
ホワイトアウト
景色に消えてくよ
ゾウの鼻が長い理由
キリンの首が長い理由
言葉や道具や政治を
人に与えられた理由
私が
ここにいない理由
はら はらり
知ってか知らずか
六花は無言で
降り積もる
はら はらり
閉ざされて
埋め尽くされて
汚れた沈黙を
浄化して
白く凍えた四肢は
その理由に
為す術もなく
流される
我
考える故に
ここにいない
人から離れ
私らしくなれる
人に触れ
私の一部を思い出す
全て世界のせいで
生きる意味を失くした
名状の
償い難き冒涜
五感を惑わせる
スイッチを押せ
「美しいと信じなさい」
「美しいと認めなさい」
ゾウの鼻が長い理由
キリンの首が長い理由
林檎が紅い理由
六花が白い理由
理由
はら はらり
理由
はら はらり
理由
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たとえ泣いていても
あなたに触れると
光が射すのです
「死にたい」と
呟いてみる
持てる力の全てで
絶望の底を
這い廻る
新しいショパンが
聴こえてくるよ
救いの兆しの一条を
見えない海の草原で
みんな
好き勝手言ってる
みんな
好き勝手やってる
それでいいのかなぁ
なんて
足を止めてみる
莫伽は
ここにしかいない
そんな笑顔
見せないで
辛くなるから
誰も否定してくれない
こんな弱い仮面
慌てふためいて
背もたれは
丸ごとの存在を
受け止めてくれる
そうだよ
今も
みんな好き勝手してる
それが普通なんだと
分かった振りをして
悲しい闇に
振り回されて
不器用さに辟易した
午後のアンダルシア
わたしの眩暈
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誰もいない
誰にもなれない
私は私にしか
なれないの
だから
私は私を
生きる
こんな底の浅い決心が
なぜなのか
力強く響く
見えるかしら?
見えるかしら?
川の畔で揺らいで見えた
水面の波紋がきららかに
祝福という名の二文字に
私は歓迎される
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見せる価値すら無いのだと
決め付けていた言の葉の
容易く折れやすい事
届くかもしれない
伝わるかもしれない
繋がるかもしれない
誰とも知れないあなたとの
文字によるリンク
その感情の重さ
その想いの深さ
測る為の物差しは
心なのです
溢れ出して
止まらなかったんだよ
まるで生理現象の排泄行為みたいに
他人の見世物として
恥を曝して
裸の言の葉を綴ってた
冷たい風が
染み込んだ心
不純とされる動機だけで
未熟な新芽の一つ一つを
同じような心の持ち主へと
渡せるかもしれないと思った
短絡的思考回路
日常は淡泊で単調で
彩る絵の具をあなたへ
どんなコミュニケーションよりも
詩だけで良かった
安易だけど
浅薄だけど
それしか残っていなかった
こんなわたしには
お願い
誰も奪わないで
こんな素晴らしいもの
詩と出会えた幸せ
私から
どうか
暴力にも
慰安にもなる
この詩を読む誰かが
もしかしたら明日
立ち上がるかもしれない
空砲で終わるかもしれない
それでもこの日この時
鳴り響いた調べは
この日この時だけの
小さな奇跡さ
この程度のわたしにも
授かった幸いさ
誰にも目に留められず
流すように読まれた後
すぐに忘れ去られるような
消耗品みたいに粗末に
扱われても
籠められた意味は
わたしに刻まれた傷のように
鮮やかに映える
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一粒の涙が
優しく溶けてるんだ
あの空の色を映した
心の深く深く
どんなに歪んだ憎しみも
包むようにひっそり
それはあなたが
つまずいた分
強くなれたから
雲の切れ間から
差し込む一条の希望が
まっすぐに心へと
届けられようとしている
ほらもうすぐ
顔上げて
見えてくるから
未来という名の
ささやかな贈り物
無理に笑わなくたって
大切な人はずっと
離れないから
世界は廻るよ
いつかまた巡る
出逢いと別れ
あなたとの永遠は
虹のずっと彼方
一歩ずつゆっくり
そうやって今を紡いでく
クネクネ曲がる道を
時々目を閉じて
風を感じて
忘れかけていた約束が
宙ぶらりんのまま
記憶の片隅に眠る
もう子供に帰れない
けれどもわたしの青春は
時を越えて駆ける
ああ
眠くなってきたよ
素敵な夢は見れるかしら
青春は瞬きの世界に
光をもたらす星の魔法
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あの日描いた
ラフな落書き
イチャモン付けるあなた
クスリと笑うわたし
それきりの時間を
何とも思わずに
やり過ごしていた
「きれいになりたい」
それきりの願いを
何とも思わずに
浮かべていた
白く長く綺麗な指で
うっとりとしながら
撫でられて
峻巡と退屈を
日向のベランダで
気怠く馴らしたり
いつも通りあなたを
愛していました
「きれいになりたい」
幸せであることの
大切さも認識できず
「きれいになりたい」
喜ばせたいばかりの想いや
恋はただの我侭を
許してしまえるくらい
広い広い心を
教えてくれるのさ
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努力したあなたを
鼻で笑えるような
手を差し伸べる人に
平気で唾を吐き掛けるような
やりたいことは
何一つとして出来ず
言いたいことは
一切口をつぐんで
人として此処に在らず
冷酷さに余裕は失せ
焦りは募る一方
純粋な優しさを
疑ってしまえるような
熱く闘う魂を
白眼で視れるような
配慮と奉仕
尊重と秩序
誠実と献身
美徳は崩壊し
否定の嵐に
耐え得る武装
生にしがみつくんだって
生にしがみつくんだって
どんなに醜くくたって
どんなに虚しくたって
どんなに罪深くたって
それが正なんだって
それが性なんだって
生にしがみつくんだって
だって……
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必死に息もできずに
優雅さの中で
窒息を覚えた
それは豊かさのようで
確かに歪んでいた
あなたは声を殺して
悲鳴をあげていた
デパートの地下に
並んだ食品の陳列
何周廻ったのか
その数すら忘却した
地球の片隅の一風景は
余りに偏っていて
大気や水の汚染
旱魃による被害
地表の熱病
海面の上昇
貧困に喘ぐ難民
掘り尽くされる油田
使い捨ての資源
この国では
それら全て絵空事
遠い異世界
飽食と腐敗と鈍い悲哀と
権力と癒着と痛い幸福と
偽りの平和に
守られた私たち
未来が
猛然と襲い掛かる
私たちは循環する
目の前にいる
震えたあなたと
あの残酷で悲惨な写真と
重なって見えたのは
錯覚かしら?